2019 Fiscal Year Annual Research Report
Host recognition mechanism in soybean cyst nematode
Project/Area Number |
18K14400
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
伊藤 晋作 東京農業大学, 生命科学部, 助教 (70608950)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ダイズシストセンチュウ / グリシノエクレピン / 孵化機構 / 誘引機構 / RNAi |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はダイズシストセンチュウ防除を目指し、その生活環の中でシストセンチュウ特異的な現象である孵化と誘引現象に着目し、宿主認識機構を解析することを目的としている。昨年度までに孵化物質の認識には適温、湿潤条件下でのインキュベート(以下孵化処理と呼ぶ)が必要であることを明らかとした。またダイズシストセンチュウ誘引に関与する遺伝子の取得を行い、宿主根誘引時にのみ特異的に変動する遺伝子を複数得ることができた。そこで本年度は以下の2つの研究を進めた。 1、ダイズシストセンチュウ孵化促進物質グリシノエクレピンへの応答が孵化処理により増加することから、孵化処理時における遺伝子発現変動をRNAseqにより解析した。孵化直前に発現することが報告されている遺伝子の発現が孵化処理によって継時的に増加したことから、孵化処理は効率的な卵の休眠打破に必要な過程であると考えられた。この他にも孵化処理に応答して変動する遺伝子群を複数見いだすことができた。 2、昨年度のRNAseqにより得られたダイズシストセンチュウの宿主根への誘引行動時にのみ変動する遺伝子に関してRNAiによる遺伝子発現抑制実験を行った。4遺伝子についてRNAiによる遺伝子抑制を確認することができた。このうち細胞内情報伝達に関与することが知られている遺伝子の一つで遺伝子発現抑制により、宿主根への誘引、および感染が有意に減少した。これまでに宿主への感染に関与する遺伝子は同様の実験によって複数見出されているが、多くはセンチュウの運動そのものを抑制するものであった。一方、今回見出された遺伝子は遺伝子抑制しても、運動量には全く影響せず、誘引過程にのみ影響していた。加えて感染能力も変化していなかったことから、本遺伝子は宿主への誘引のみに特異的に関与する重要な遺伝子である可能性が示唆された。
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