2018 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリア‐神経相互作用によるストレス応答機構の解明と食品成分による制御
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18K14402
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板倉 正典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (70803162)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミクログリア / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の発症において、精神的・物理的・化学的ストレスによる活性酸素種の産生や脳内炎症の関与が示唆されているが、その詳細な発症メカニズムは明らかでない。申請者らは、ストレス負荷されたマウスの神経細胞内において、解糖系酵素グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素 (GAPDH) が核移行することで、うつ病の病態形成に関与することを明らかにしている。一方、脳内に集積したミクログリア(脳内炎症)のうつ病発症への関与が指摘されているが、その詳細は明らかでない。本研究ではミクログリア‐神経細胞相互作用に焦点を当て、細胞種間GAPDH輸送の重要性を検討することにより、うつ病発症機序を解明することを目的とした。 平成30年度はストレス負荷モデルマウスを作製し、抗GAPDH抗体を用いた免疫染色により、ミクログリアにおけるGAPDH動態の経時的な変化を解析した。その結果、うつ様行動を示さない軽度なストレス負荷および慢性ストレス負荷により、マウス脳前頭前皮質、海馬においてミクログリア内GAPDH量の増加が認められた。さらにGAPDH動態変化による細胞機能変化を解析するために株化マクロファージを用いたin vitro解析を実施した。ストレス応答に関連すると考えられる神経伝達物質などを細胞に添加しフローサイトメーターを用いてGAPDH量を測定した結果、ATP添加によりGAPDH量の増加が観察された。現在はミクログリア内GAPDH量の変化がもたらす細胞応答変化として、遺伝子発現、GAPDH分泌と神経細胞への影響について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ストレス負荷マウスを作製し脳内GAPDH動態の解析を行った結果、ミクログリアおよび神経細胞におけるGAPDH動態を明らかにすることができた。さらに株価細胞を用いた実験においてもGAPDH動態変化を模倣する実験系が確立できた。一方で、今年度に予定していたGAPDH分泌についての解析を行うには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクログリア内GAPDH量の変化がもたらす細胞応答変化として、遺伝子発現、GAPDH分泌と神経細胞への影響について解析を進める。また今回確立した実験系を発展させ、GAPDH動態を評価する実験系および動態制御に関わる食品成分スクリーニング系の確立を目指す。
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