2018 Fiscal Year Research-status Report
Search for new VE homolog and elucidation of its functionalities
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18K14403
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
別府 史章 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (10707540)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビタミンE / tocopherol / tocomonoenol / tocodienol / tocotrienol / 海洋性ビタミンE / 機能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は新規ビタミンE(VE)の探索と、生理機能性が未解明な希少VE同族体の構造的特徴と機能性の関連性を明らかにすることを目的とする。計画する実施項目は、①天然物に含まれる新規VE探索、②化学的手法を用いた希少VEの調製、③各種VE同族体の機能性とその作用機構解析である。 H30年度は、より幅広く構造の違いを検討するために科学的手法を用いた希少VEの調製に取り組んだ結果、α、β、γ、δ体それぞれのクロマノール環を持つtocodienol、tocomonoenolの調製を可能にした。次いで、これら希少VE混合物を多量に調製し、肥満糖尿病モデルマウスを用いた経口投与試験を実施した。その結果、希少VE含有飼料群では対照群と比して血糖値が低下し、高血糖改善効果が示唆された。また、α-Toc含有飼料群では対照群と比べて血中トリアシルグリセロール量が増加したが、希少VE群ではそうした変化は認められなかった。 また、海洋生物由来の希少VEであるmarine-derived Toc (MDT)の機能性評価の一環として、乳癌、前立腺癌、大腸癌細胞に対する増殖抑制効果を検証した結果、既知のVE同族体と有意な違いは認められず、本試験においてはフィチル側鎖構造による影響は示されなかった。 最後に、各種VE同族体単独での機能性評価を行うために、希少VEの精製方法を検討した。その結果、混合物からα体のtocotrienol, tocodienol, tocomonoenol, tocopherolが単離精製可能となり、MDTを加え、5種のα型VEでの機能性評価を実施可能にした。これによりH31年度のin vitro試験によりVE構造と細胞機能調節作用との関連性についての新たな知見が得られると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度では化学的手法を用いることで多量に希少VEを調製する方法を早く確立できたため、希少VEを用いたマウス投与試験を当初想定していたよりも早く年度内に完了することができた。そのためH31年度前半に行う詳細な解析結果に基づきin vitroの機能性解析を効率的に展開することが可能となった。また、各種VE同族体を単離精製する方法の検討も進められ、すでにα体のtocopherol、tocomonoenol、tocodienol、tocotrienolおよびMDTと5種類の化合物を精製することが可能となり、機能性評価を今後進める予定である。希少VEの優れた供給源を見出すことを目的とした探索は、現在のところデータの蓄積量が少ないものの、H31年度には、精製した上記化合物の検量線を用いた定量分析が可能であることから、これまで未同定であった天然物中の希少VE含量についてのデータ蓄積が今後進められると考える。以上より、当初予定通りに研究が進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度に調製可能となった各種希少VE化合物を精製し、検量線を用いた定量方法が確立でき次第、天然物中の希少VE含量に関するデータ蓄積を行う。また、経口投与したマウスの各種臓器を分析し、希少VE同族体の組織への蓄積を調べることで代謝に関しても検討を進める。主要なVE以外の蓄積や異化を詳細に調べた研究例は少なく、VE代謝機構に関する新たな知見が得られると期待できる。機能性評価について、これまでに我々はMDTがα-Tocやγ-Tocに見られない特徴的な作用を示すことを脂肪細胞や炎症性細胞で明らかにした。本研究においては、さらにα型クロマノール環を持つtocomonoenol、tocodienolを加え、これら化合物の機能性を比較評価することで、特にフィチル側鎖構造の違いに基づく細胞機能調節機構への影響について検討する。
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