2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of blood LDL cholesterol lowering effect of lactic acid fermented sake lees
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18K14404
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 浩史 新潟大学, 研究推進機構, 特任助教 (60791382)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳酸醗酵酒粕 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 総コレステロール / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸醗酵酒粕は酒粕に乳酸発酵を加えて脱アルコール化した食品であり、酒粕の安全性や味の面を大きく改善したもので、すでに市販されている食品である。酒粕には肝保護作用や脂質代謝改善作用などが報告されているが、乳酸醗酵酒粕を用いてこれらの作用を報告した研究は存在しない。乳酸醗酵酒粕の摂取が糖尿病や脂質異常症など様々な病気の引き金となる生活習慣病の発症を防ぐことができれば、日常的に摂取可能な食品により生活習慣病の発症予防ができることにつながり、国民の健康に大きく寄与できるものと推測される。 一つ目の研究としては、通常のマウス(C57BL/6Jマウス)に乳酸醗酵酒粕を高脂肪食に配合した特殊飼料を摂取させたところ、高脂肪食のみを摂取させた群(対照群)と比較して有意に総コレステロール値の上昇抑制が認められた。糞について解析を進めたところ、乳酸発酵酒粕を摂取させた群では対照群と比較して有意に総コレステロールおよび胆汁酸の排泄増加が確認された。乳酸発酵酒粕を摂取することによって、糞中への総コレステロール排泄が促進し、血中の総コレステロール値の上昇を防ぐ可能性が示唆された。 次に、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスを用いて、乳酸醗酵酒粕を高脂肪食に配合した特殊飼料を摂取させたところ、対照群と比較して肝機能障害の抑制や肝線維化の抑制など、NASHの進行抑制効果が確認された。血中の総コレステロール値については、乳酸醗酵酒粕摂取群と対照群とで有意な差は認められなかった。乳酸醗酵酒粕摂取群では対照群と比較して血糖上昇抑制が認められており、これがNASHの進行抑制に寄与したものと推測された。こちらについては、今後もウエスタンブロットによる蛋白分析を行い、乳酸醗酵酒粕のNASH進行抑制効果の機序解明を進めていき、論文化して欧米の学術誌に投稿予定である。
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