2018 Fiscal Year Research-status Report
食品添加物の細胞毒性試験による新しい毒性評価法の確立
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18K14408
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
亀村 典生 徳島文理大学, 人間生活学部, 講師 (10632656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食品添加物 / ポストハーベスト / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界中で食品添加物を使用することは一般化されている。しかし近年、食品添加物の安全性が危惧され、安全性基準の見直しが進められており、毒性評価の開発が急務とされている。そこで動物を用いないで食品添加物の毒性を判定できる、新しい簡易的な測定法の開発に着手した。 フローサイトメーターを用いて、ポストハーベスト農薬として使用されている、ビフェニル、チアベンダゾール等の防カビ剤に焦点を当てて、胸腺細胞の細胞毒性を調べた。防カビ剤に焦点を当てた理由としては、防カビ剤は人体への毒性が幅広く報告されており、さらに防カビ剤がアレルギーを誘導する可能性もすでに報告されているためである。防カビ剤の毒性を調べたところ、特にビフェニルにおいて細胞死が強く見られた。さらにビフェニルを投与した細胞を詳細に調べてみると、細胞内のカルシウム、亜鉛ともに増加していることが明確になった。そこで、細胞内の亜鉛を取り除く薬剤であるTPEN(N,N,N,N-Tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine)をビフェニルとともに投与したところ、ビフェニルによる細胞死を抑制した。さらに細胞外カルシウムを除くことによっても、ビフェニルの毒性を軽減できた。以上の結果から、ビフェニルの毒性は、細胞内の亜鉛が増加すること、細胞外のカルシウムが細胞に流入してくることで、細胞に対して複数の要因をビフェニルが誘導し、細胞に対して毒性をもたらすことを明らかにした。さらにビフェニルは防カビ剤のなかでも毒性が強いことが言われており、本結果は動物実験で報告された結果と一致した。したがってフローサイトメーターを用いた細胞毒性試験は、食品添加物の毒性を判定する測定法になりうることを明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度において、「細胞毒性を引き起こす食品添加物の探索」という研究計画のもと、研究を行った。ポストハーベストに使われる、ビフェニルの毒性を明確にできた。したがって、当初の予定通り、フローサイトメーターを用いることで、食品添加物による細胞毒性を測定できることを明らかにし、さらに毒性をもたらす食品添加物も明確にできたということで、順調に計画は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においてにおいて、防カビ剤であるビフェニルが、細胞内のカルシウムと亜鉛を増強させ、細胞毒性を引き起こすことを明確にした。肥満細胞における細胞内カルシウムの増加は、アレルギーの誘導物質の放出を促進することが報告されている。したがって食品添加物が肥満細胞に作用し、細胞内カルシウムの増加を引き起こし、アレルギー誘導物質を過剰に放出するのではないかと考えている。つまり食品添加物がアレルギーの誘導に関与している可能が考えられ、今後の研究で、その事実を明確にして、さらにメカニズムも明確にしていきたい。
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Research Products
(3 results)