2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14412
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
藤井 俊輔 (藤井俊輔) 長崎国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10610165)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モノクローナル抗体 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが有する、食品および薬用植物エキスライブラリーを用いて、オートファジー制御に関わるタンパク質の変動についてスクリーニングを行った。その結果、牛蒡子(牛蒡の果実)エキスが、肝がん細胞株においてオートファジー制御を介した細胞死を誘導する知見を得た。また、同様の結果が牛蒡子の主薬効成分であるアルクチイン(AI)および、アルクチゲニン(AG)においても見出された。 本研究の究極的な目的は、申請者らの研究グループが得意とする天然化合物に対するモノクローナル抗体(mAb)作製を研究基盤として、mAbを用いたin vitroおよび、in vivoにおける天然化合物の生体内の挙動解析や作用機序の解明を実施することで、mAbを研究基盤とした機能性解析研究のモデルを構築する。 本年度は、牛蒡子の主薬効成分のうち、特にオートファジー制御能が強かったAGをパイロットサンプルとして実験をスタートした。 まず始めに、AGに対するmAbの作製に着手した。AGは低分子化合物であるためそのまま実験動物に免疫感作を施しても、抗体誘導は確認されない。そこでAIをリード化合物としてAIの糖鎖にキャリアタンパク質を導入し、免疫原性を付与した。調製した免疫源を2週間毎に計4回マウスに対して免疫感作を行い、血中抗体誘導を確認後、マウス脾臓細胞とマウス骨髄腫細胞を細胞融合し、AIおよびAGに対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株数十種を得た。現在、これらのハイブリドーマ細胞が産生する抗体の反応性を確認し、今後の実験に適用可能な細胞を選抜している。また、AGの肝がん細胞の増殖抑制作用を探るべく実験を行った。種々のオートファジー阻害剤を用いて作用機序を確認したところ、AGはアポトーシス誘導因子に影響を与えることなく、オートファジーを阻害することで細胞増殖抑制にはたらくことが明らかとなった。また、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画では、牛蒡子の主薬効成分であるアルクチゲニン(AG)に対するモノクローナル抗体(mAb)の作製と、AGの細胞増殖抑制作用の詳細の一端を探ることを目的としてる。本年度は、AGに対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞数十種を得るに至ることができた。また、AGの細胞増殖抑制がアポトーシスではなくオートファジーの抑制によって誘導される現象であると確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究展開として、以下の2点に注力し遂行する。1点目は、アルクチゲニン(AG)に対するモノクローナル抗体(mAb)を産生するハイブリドーマ細胞の選抜と単クローン化および、抗体の精製、本mAbを研究ツールとした各種免疫化学的分析手法の確立を行う。2点目は、AGが有するオートファジー抑制による肝がん細胞増殖抑制の作用機序の解析を、オートファジー関連タンパク質の変動を指標として、その詳細を明らかにする。
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