2019 Fiscal Year Research-status Report
食品が持つ酸化ストレス抑制効果における直接的な活性酸素種消去能の寄与について
Project/Area Number |
18K14413
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
若木 学 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主任研究員 (50710878)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗酸化能 / HODEs |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6Nマウス(12週齢、雄性、各群6匹)に抗酸化能の異なる2種のイチゴ凍結乾燥粉末の混餌飼料を9週間投与した。試験終了時は絶食させない状態で解剖を行い、血中における生化学的マーカーおよび酸化ストレスマーカーの測定を行った。更に、フローサイトメトリー解析により肝臓におけるマクロファージの検出を行った。試験期間中の摂餌量および摂水量に群間の差異は認められなかった。9週間投与後の体重および脂肪重量は高脂肪食群で普通食群より有意に高かく、高脂肪食群内においてはイチゴ摂取により脂肪重量を有意に増加させていた。血中の生化学的マーカーにおいて、HbA1c、総コレステロール、HDLコレステロール、およびレプチンは高脂肪食群で普通食群より有意に高く、血糖値、LDLコレステロール、遊離脂肪酸、およびインスリン値は高い傾向を示した。イチゴ摂取による影響に関しては、高脂肪食群内においてイチゴ摂取はレプチンを有意に増加させていたが、それ以外は有意な差異は認められなかった。次に、血中の酸化ストレスマーカーとしてHODEs (hydroxyoctadecadienoic acids)を測定したところ、HODEsの総量は高脂肪食群で普通食群より有意に高く、高脂肪食群内においてイチゴ摂取はその増加を有意に抑制していた。最後に、フローサイトメトリー解析により肝臓における炎症性マクロファージ(M1マクロファージ)と抗炎症性マクロファージ(M2マクロファージ)の検出を行った。その結果、M1とM2マクロファージの比率は有意な差異は認められなかったが、高脂肪食摂取によるM1マクロファージの増加を抑制する傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今般のコロナ禍に伴い、特に加齢よって誘導される酸化ストレスへの影響の検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満によって誘導される酸化ストレスへの影響については、これまでの動物実験で得た血漿の酸化ストレスマーカー測定や肝臓および脂肪組織 における抗酸化酵素遺伝子群の発現解析およびシグナル伝達経路に及ぼす影響解析を行う。また、一重項酸素消去の異なる飲料を供試食とした動物実験を行う。 加齢によって誘導される酸化ストレスへの影響についても、供試食投与実験を開始する。
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Causes of Carryover |
加齢によって誘導される酸化ストレスに対する実験に遅れが生じており、その実験に使用する予定であった試薬等の費用分が次年度に繰り越しとなった。その使用計画として、酸化ストレスマーカー測定に使用する試薬等の購入を行う。また、抗酸化酵素遺伝子群の発現解析に必要な試薬も購入する。
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