2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of reduced allergenicity of wheat using proanthocyanidins
Project/Area Number |
18K14415
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
村上 太郎 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (70393254)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小麦グリアジン / Caco2細胞 / プロアントシアニジン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に人工消化液で消化した小麦グリアジンについてCaco2細胞を利用した腸管吸収モデルによる評価を行った際に、細胞の生育阻害が確認されたため腸管吸収による影響を評価できなかった。細胞の生育阻害は人工消化液中の消化酵素による影響が考えられたため、今年度は人工消化液による細胞の生育阻害を解消するための条件について検討を行った。消化液中のキモトリプシンなどのセリンプロテアーゼの阻害剤である4-(2-Aminoethyl)benenesulfonyl fluoride(以下AEBSF)を人工消化液に添加して、試料添加後の経上皮電気抵抗値(TER)を経時的に測定した。評価の結果、AEBSFを加えた場合にもTERの減少と細胞の剥離が確認された。AEBSFを含むPBS緩衝液を内腔側に添加した際にもTERの減少と細胞の剥離が確認されたため、AEBSFは本評価モデルには利用できないことが確認された。 次に、PBS緩衝液で溶解した33残基の小麦グリアジンペプチドを利用して、腸管吸収モデルによる評価を行った。内腔側にペプチドを添加した際にはTERの変化は6時間後にも確認されず、細胞の生育阻害も確認されなかった。また、6時間後の側底側の培地を採取し、ペプチドを特異的に認識するモノクローナル抗体 (G12 mAb)を利用した直接ELISA法によって測定を行った結果、小麦グリアジンペプチドが検出されため、33残基の小麦グリアジンペプチドは腸管内に吸収されることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の拡大によって、当研究所で共用利用している実験室を使用した培養細胞を使った腸管吸収モデルによる評価について条件検討のために時間を要したため、研究の進歩に遅れが生じている。引き続き、合成した小麦グリアジン由来ペプチドを指標とした消化吸収についての評価法も併行して評価を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
Caco2細胞を利用した腸管吸収モデルによる評価については引き続き、人工消化液による生育阻害を軽減する方法を検討する。また、併行して33残基の小麦グリアジンペプチドは腸管内に吸収されることが確認されたため、次年度は培養細胞を使った腸管吸収モデルによって、PACが共存した状態で小麦グリアジンが消化吸収によって受ける影響についても評価する。さらに、2018年度に検討した高分解能飛行時間型質量分析装置(LC-QTOF/MS)による各試料のプロアントシアニジンの構造について解析を行い、ペプチドの腸管吸収への影響についても解析を行う。
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Causes of Carryover |
培養細胞を使った腸管吸収モデルによる評価について条件検討のために時間を要したため、次年度使用額が生じた。2020年度に生じた未使用の経費については、2021年度の物品費として使用する予定である。
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