2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the mechanism of browning adipocytes using metabolome analysis
Project/Area Number |
18K14420
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 春弥 京都大学, 農学研究科, 助教 (30750369)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタボローム解析 / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は種々の生活習慣病発症の根源であり、肥満の抑制がこれらの病気の予防・治療に重要である。本研究課題では、肥満進行を抑制する主たる方法としての生体内エネルギー消費量の底上げを想定し、生体内における熱産生に重要な褐色様脂肪細胞が形成されるメカニズムや当該細胞形成に寄与する食品についての検討を行った。 具体的には、脂肪細胞の褐色化(主にエネルギー蓄積に寄与する白色脂肪細胞から主に熱産生に寄与する褐色様脂肪細胞への変換)を促す薬剤を処理した実験動物において、各種組織中代謝物を、メタボローム解析(代謝物一斉解析)手法を用いて検出し、脂肪細胞の褐色化過程での低分子代謝物の動態変化について解析を行った。また、ここで得られた知見や解析技術を、食品成分を摂食させ脂肪細胞の褐色化が増進した実験動物組織中の代謝物解析や、脂肪細胞の褐色化亢進作用が期待される食品抽出物に含有される成分解析に一部応用した。 薬剤を用いた実験においては、特に鼠径部脂肪組織において顕著な脂肪細胞の褐色化が進展していることが確認され、各種組織中の代謝物を解析したところ、鼠径部脂肪組織においては他の組織と比較し、薬剤処理により顕著な代謝変化が認められたことから、当該組織において活発な代謝が行われていることを見出した。さらに、各種の代謝物データベースを活用し、薬剤処理により変化した代謝物の分類について解析を行ったところ、アミノ酸、糖、核酸関連に分類される各種代謝物が特に変動していることを見出した。実験動物を用いた食品成分摂食実験においては、当該成分の脂肪組織中での代謝解析を実施し、当該成分代謝産物よりも当該成分が活性本体であることを示唆する解析結果を得た。また、脂肪細胞の褐色化亢進作用が期待される食品抽出物中の成分解析を行い、当該抽出物中にアミノ酸関連代謝物等の多様な成分が含有されていることを示唆する解析結果を得た。
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