2018 Fiscal Year Research-status Report
イソフラボン代謝物エコール抱合体は小腸を介して胃排出を遅延し食欲を低下させるか?
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18K14423
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤谷 美菜 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (70737402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エコール / 食欲 / 抱合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、大豆イソフラボン・ダイゼインが雌特異的に食欲を低下させること、その腸内細菌代謝産物エコールが作用物質であることを発見した。先の研究結果から我々は、雌ラットの胆汁中に食欲低下効果の鍵となるエコール抱合体が存在すると推測している。しかし、ラット胆汁中に存在するエコール抱合体タイプは特定されていなかった。そこで本研究では、Q-TOF型MS装置を用い、ダイゼインを摂取したラット胆汁中エコール抱合体濃度を雌雄で比較した。 雌雄のSD系ラット(6週齢)をダイゼイン無添加飼料または添加飼料(300 mg/kg 飼料)で飼育した(各々C群、D群)。ダイゼイン摂取によって雌特異的に飼料摂取量が有意に減少したことを確認し、胆汁を採取した。雌D群の胆汁中からエコール代謝物を0.1%ギ酸-アセトニトリルで抽出し、クロマト分離を介さず負イオン検出のエレクトロスプレーイオン化(ESI)による質量スペクトルを測定したところ(XEVO G2-S qTOF, ウォーターズ社)、エコールモノ硫酸抱合体およびモノグルクロン酸抱合体の存在が示唆され、衝突誘起解離(CID)を用いた断片化処理で得られたフラグメント情報から、エコール4’-グルクロン酸抱合体および7-硫酸抱合体であると推測された。上記2種エコール抱合体の酵素合成品を標品とし、雌雄のラット胆汁中濃度をLC-MSを用いて定量したところ、4’-グルクロン酸抱合体は雌特異的に胆汁中に存在することが明らかとなった。先の研究の結果と合わせて考え、雌特異的にラット胆汁中に存在するエコール4’-グルクロン酸抱合体が、食欲低下作用に関与している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エコールの雌特異的食欲低下作用の作用物質と推測されるエコール4’-グルクロン酸抱合体を雌雄のラットの十二指腸に投与し、食欲への影響を検討する予定であったが、多量のエコール4’-グルクロン酸抱合体が必要であり、その準備に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、食欲低下作用を引き起こすメカニズムの解明を目指し、消化管ホルモン分泌および胃内容排出へのエコール抱合体投与の影響を検討していく。
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Causes of Carryover |
当初の計画より若干遅れており、次年度使用額が生じたが、それもわずかであり概ね計画通りに2018年度分の助成金を使用した。2019年度も計画通り、実験に必要な消耗品、学会旅費、投稿論文の英文校正のために助成金を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)