2019 Fiscal Year Research-status Report
イソフラボン代謝物エコール抱合体は小腸を介して胃排出を遅延し食欲を低下させるか?
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18K14423
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤谷 美菜 愛媛大学, 農学研究科, 特任講師 (70737402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大豆イソフラボン / エコール / 食欲 / 胃排出 / urocortin |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、大豆イソフラボン・ダイゼインが雌特異的に食欲を低下させることを見出し、作用機構の解明を目指して研究を続けてきた。その中で、ラットが摂取したダイゼインはかなりの割合でエコールに代謝され、エコールが腸肝循環しながら経日的に蓄積されることにより、食欲低下作用を引き起こすことが推測された。平成30年度にラット胆汁中の各種エコール抱合体タイプを雌雄で比較し、エコール4’-グルクロン酸抱合体が雌特異的にラットの胆汁中に存在することを明らかにした。このエコール4’-グルクロン酸抱合体が食欲低下作用に関与しているのかを現在検討中である。 満腹感の増大に胃膨張が関与することが報告されていることから、我々はダイゼイン摂取により胃排出が遅延することで食欲が抑制される可能性を検討してきた。その中で、胃切除ラットではダイゼインの食欲抑制作用は確認されず、ダイゼインの作用に胃内容物貯留能が関与することが示唆された。さらに、給餌を日に2回(各1時間、給餌間隔2時)に制限する2食制で飼育したラットでは、ダイゼイン摂取により1食目後の胃排出が遅延すること、2食目特異的に飼料摂取量が減少することがわかった。令和元年度は、ダイゼインの食欲抑制および胃排出遅延作用の機構を推測することを試みた。2食制で飼育したラットにダイゼイン添加または無添加飼料を与え、2食目摂食中に小腸粘膜および視床下部を採取し食欲および胃排出調節因子の遺伝子発現を測定したところ、視床下部において食欲抑制と胃排出遅延に関与する神経伝達物質urocortin遺伝子発現がダイゼイン摂取により有意に増加することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エコールの雌特異的食欲低下作用の作用物質と推測されるエコール4’-グルクロン酸抱合体を雌雄のラットの十二指腸に投与し、食欲への影響を検討する予定であるが、多量のエコール4’-グルクロン酸抱合体が必要であり、その準備に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
多量のエコール4’-グルクロン酸抱合体を入手することが困難であるため、エコール4’-グルクロン酸抱合体の十二指腸への投与は作用物質特定のための研究でのみ行い、食欲低下作用を引き起こすメカニズムの解明のための研究では、ダイゼイン/エコール混餌投与の系を用いることとするが、その他については予定通りに進める予定である。
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