2018 Fiscal Year Research-status Report
食品因子による白色脂肪組織の自己分泌促進を介した新たな褐色脂肪細胞化誘導作用
Project/Area Number |
18K14428
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
西川 翔 中部大学, 応用生物学部, 研究員 (10728249)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 褐色脂肪細胞化 / ヘスペリジン / UCP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
白色脂肪組織での褐色脂肪細胞化の誘導は、熱産生によるエネルギー消費を亢進し体脂肪蓄積を抑制することからその活用が期待されている。本年度はまず、褐色脂肪細胞化を促す食品成分の探索を行い、柑橘類に含まれるフラボノイド、ヘスペリジンの生体吸収性を高めた糖転移ヘスペリジンが、鼠径部白色脂肪組織においてuncoupling protein 1 (褐色脂肪細胞マーカー)のタンパク質発現誘導など褐色脂肪細胞化を誘導することを見出した。さらに褐色脂肪細胞化の評価をタンパク質発現などの生化学的な評価に加え、熱産生といった機能面からより詳細に評価するため、温度プローブを白色脂肪組織に挿入し組織温度を直接計測することで、褐色脂肪細胞化誘導に伴う白色脂肪組織温度の温度上昇を計測する技術を確立した。この評価系を用いて、糖転移ヘスペリジン摂取により褐色脂肪細胞化が誘導された鼠径部白色脂肪組織の温度を計測したところ、コントロール群と比較して有意な温度上昇が見られた。これらの結果から、糖転移ヘスペリジンは鼠径部白色脂肪組織において褐色脂肪細胞化を誘導し、そこでの熱産生を亢進することが考えられた。以上の成果は、J. Agric. Food Chem., (2019) 67: 1984-1954、および第72回 日本栄養・食糧学会大会、日本食品科学工学会第65回大会、第75回日本栄養・食糧学会中部支部会、日本農芸化学会2019年度大会にて報告した。また、糖転移ヘスペリジンによる褐色脂肪細胞化の誘導機序として幾つかの候補因子を絞り込みすでに検討を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
褐色脂肪細胞化を誘導する食品成分として新たにヘスペリジンを見出した。さらに、褐色脂肪細胞化を熱産生といった機能面から評価する新手法を確立し、褐色脂肪細胞化誘導をより正確に評価することが可能となった。また、糖転移ヘスペリジンによる褐色脂肪細胞化の誘導機序に関わる候補因子を絞り込み、すでに検討を進めている。これらの成果は次年度での研究推進の大きな足掛かりとなり、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き褐色脂肪細胞化を誘導する食品成分を検討すると共に、本年度で見出した糖転移ヘスペリジンによる褐色脂肪細胞化の誘導機序を明らかにしていく。誘導機序に関して、すでに幾つかの候補因子を絞り込んでいるので、次年度ではより詳細に関与を検討する。具体的には、糖転移ヘスペリジンを摂取したマウスへ候補因子を標的とした阻害薬投与、或いはKOマウスを用いた検討を予定している。併せて、C3H10T1/2細胞を用いた候補因子のノックダウン試験なども予定している。
|
Causes of Carryover |
当初購入を予定していた試薬販売会社から、より安価に購入可能な試薬販売会社に変更したため差額が生じた。残額は次年度にて試薬購入等に使用する。
|
Research Products
(5 results)