2018 Fiscal Year Research-status Report
新規劣性免疫因子の機能解析による抗植物ウイルス免疫ダイナミクスの解明
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18K14434
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 将典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20615273)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植物ウイルス / 植物免疫 / 劣性抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物はRNAウイルスに対して複数の免疫システムを備えているが、免疫システム同士がどのように相互作用するかは不明である。本年度は、植物ウイルスに対する新規劣性免疫因子の多面的な機能に関する手がかりを得るため、劣性免疫因子との結合因子のスクリーニングを行うとともに、劣性免疫変異体において他の坑ウイルス免疫の変動を調査した。 まず、劣性免疫因子との相互作用因子のスクリーニングを実施した。その結果、劣性免疫因子の全長を対して、機能未知遺伝子を含む多数の相互作用候補因子が特定された。そのなかには、劣性免疫因子との相互作用に関わると予想される配列モチーフを有した候補因子が複数見出された。このことから、劣性免疫因子の機能発現に関わる重要な相互作用因子が含まれる可能性がある。 次に、劣性免疫変異体において、他の抗ウイルス免疫の変動を調査した。ホルモン性免疫に関係するマーカー遺伝子PR-1の発現を調べたところ、変異体においてマーカー遺伝子の発現上昇が観察された。また、NMD免疫に関係するマーカー遺伝子の発現を調べたところ、当該マーカー遺伝子の変動は観察されなかった。以上のことから、劣性抵抗性変異体においてはホルモン性免疫が変動しており、この現象がウイルスに対する劣性免疫に影響する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画した実験項目を着実に実施した。相互作用因子のスクリーニングでは、相互作用に関わると予想される配列モチーフを有する候補因子が複数特定されたことから、実験方法ならびに結果の妥当性が裏付けられた。また、劣性免疫変異体におけるウイルス免疫関連遺伝子の発現解析では、劣性免疫と他の抗ウイルス免疫の相互作用を示唆する知見を得ることができた。以上のことから、本年度は概ね順調に研究が進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は計画した実験項目を実施し、次年度の研究計画につながる知見を得ることができたため、次年度も当初計画通りに研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は相互作用因子のスクリーニングの条件検討に当初の計画より時間を要したため、特定に至った相互作用候補因子と劣性免疫因子との植物細胞内での相互作用を確認する実験を完遂することができなかった。そのため、この確認実験に用いる予定であった物品費の一部が次年度使用額として生じた。次年度は、この確認実験の残りを年度の前半で速やかに実施する予定である。
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