2018 Fiscal Year Research-status Report
ポリコーム複合体群因子による植物免疫誘導・免疫記憶樹立機構の解析
Project/Area Number |
18K14437
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
田島 由理 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任助教 (80771154)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植物免疫 / プライミング / シロイヌナズナ / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
植物が病原体を認識して防御応答が活性化されると、病原体認識部位に加えて全身で防御応答が記憶化され、二次感染に対してより早く・強く応答可能なプライミング状態となる。一般に転写の抑制に働くヒストン修飾酵素CLFおよびその複合体(ポリコーム複合体・CLF-PRC2)がプライミング時に防御応答遺伝子群をむしろ正に制御することをこれまでに見出した。さらに、種子特異的にCLFと同様の働きを担うMEAが、防御応答時には葉で発現誘導され、プライミングに寄与することを示唆する知見を得た。そこで本研究では、主にMEA-PRC2に着目し、ポリコーム複合体を介したプライミングの制御機構の一端を明らかにすることを目的とした。 プライミングの成立に至るまでには、1接種葉での防御応答、2接種葉から全身へのシグナル伝達、3全身での免疫記憶成立の3ステップがある。まずトマト斑葉病細菌Pseudomonas syringae pv tomato AvrRpm1を免疫のトリガーとして用い、1接種葉での防御応答及び3全身での免疫記憶(プライミング)について調べた。その結果、接種葉での防御応答は、野生型植物と比較してmea変異体植物では強まっている傾向にあるものの、プライミングについては野生型植物より低下していることがわかった。 さらに、先進ゲノム支援の採択を受けて、プライミング成立時のヒストン修飾動態について、野生型植物およびmea変異体植物を用いたChIP-seq解析を現在行っている。得られた結果をもとに、プライミング誘導時にMEA依存的にヒストン修飾が変動する遺伝子群を同定するとともに、プライミング誘導時特異的なPRC2ターゲティングに関わる因子や経路の情報を得たいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、mea変異体植物を用いた表現型解析を行うだけでなく、ChIP-seq解析にも着手することができた。また、MEAの機能部位や時期の推定に向けて、グルココルチコイド(DEX)投与によりMEA の機能性を誘導できるMEA-GR形質転換植物やDEX誘導性のMEAノックダウン植物の作出を現在進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
mea変異体植物のさらなる表現型解析を行う。加えて、作出したMEA-GR形質転換植物やMEAノックダウン植物を用いて、MEAの機能部位や機能時期の推定を試みる。また、MEA依存的にプライミングの標的となる遺伝子の同定に向けて、mea変異体を用いたトランスクリプトーム解析を行うとともに、その結果とChIP-seq解析の照合を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンス解析を次年度に繰り越すことにしたため。
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Research Products
(2 results)