2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the effector secretion pathway of plant pathogenic fungi using chemical genetics
Project/Area Number |
18K14440
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
熊倉 直祐 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50815438)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植物病原糸状菌 / 炭疽病菌 / エフェクター / ケミカルジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
世界中で多額の作物被害をもたらす植物病原糸状菌は基礎・応用の両面で重要な 研究対象である。炭疽病菌は主要な植物病原糸状菌の一種であり、多くの作物に炭疽病を引き起こす。炭疽病菌はエフェクタータンパク質を分泌することで宿主 の免疫反応や細胞壁などの物理障壁を打破し感染を成立させる。エフェクター の分泌は時空間的に精密に制御され、特異的な分泌経路の存在が示唆されるものの、その分子メカニズムについてはほとんど明らかになっていない。申請者はこれまでに炭疽病菌においてエフェクター分泌阻害剤ケミカルスクリーニングを実施し、複数のヒット化合物を得ている。本研究ではこれらエフェクター分泌阻 害剤の標的遺伝子産物・作用機序をケミカルジェネティクス的手法で解析し、炭疽病菌のエフェクター分泌機構を分子レべルで解明する。これらエフェクター分泌阻害剤の一部は、酵母のケミカルジェネティクスを用いた手法で、分泌関連経路を標的とすることが予想されている。本年は、候補遺伝子群の機能解析のために技術開発を完了した。具体的には、炭疽病菌のマーカーリサイクリング法を開発し、原理的に無制限の回数の遺伝子破壊が可能になった。この方法を用いて、機能重複をもつ遺伝子の表現型への影響の評価が可能になった。本内容については、国際誌に原著論文として発表した。現在は、マーカーリサイクリング法を用いて、エフェクター分泌阻害剤が標的にすると予想された複数の分泌関連遺伝子の多重破壊株の作成を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度目標とした技術開発が完了し、エフェクター分泌阻害剤の標的候補遺伝子の機能を検証する段階に入った。遺伝子破壊に際し、当初予想していたより、破壊効率が悪い事態に多々直面しているが、CRISPRを用いることで解決を図っている。それ以外は、概ね計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
炭疽病菌における一部の遺伝子について、破壊効率の低さが、研究のスムーズな進行を阻んでいた。この問題についてはCRISPRを用いることで、およそ解決するめどが立ちつつある。また、CRISPRを用いることで、これまで炭疽病菌の形質転換にはPlasmidを用いていたが、代わりにPCR断片が使えるようになるなど、作業効率の向上という副産物が得られた。本年はCRISPRを活用することで、炭疽病菌の遺伝子操作・遺伝子破壊を効率化しつつ、エフェクター分泌阻害剤の標的候補遺伝子の検証を迅速に進める。
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Research Products
(2 results)