2018 Fiscal Year Research-status Report
ソバの生態型制御にむけた結実時期および登熟期制御因子の解析
Project/Area Number |
18K14448
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
竹島 亮馬 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 研究員 (70806603)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | AmpliSeq / QTL / 遺伝解析 / 感光性 / 登熟期 / 日長反応性 / 普通ソバ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 普通ソバの栽培地域/作期を制限する生態型に関わる遺伝子座の特定である. ソバの生態型とは, 日長応答性の違いから区分される3つの型―感光性の弱い夏型・強い秋型・その中間型―であり, これまで生態型に関わる遺伝解析は日長に応答した開花期の早晩性に着目して進められてきた. しかし, 申請者のこれまでの研究から, ソバの生態型は開花期よりも開花後の結実時期・登熟期に強く制限される可能性が見えてきた. そこで本研究では, 日長に応答した結実時期・登熟期の早晩性に着目し, その制御に関わる原因遺伝子座の特定を目的としている.
本年度はまず, 生態型の異なる世界のソバ遺伝資源を用いた栽培試験から, ソバの生態型が開花期よりも登熟期に強く制限されていること, また交配試験により, その要因は花粉側でなく柱頭側に起因することを明らかにした. 遺伝解析においてはまず, Ion torrentの提供するAmpliSeqのシステムを用いることで, マーカー情報の乏しいソバにおいて, ゲノムワイドに座乗する500のマーカーセットを開発した. 開発したマーカーセットおよびAmpliSeqによる多型解析技術を用いて登熟期に関するQTL解析を行った結果, 2つの独立したF2集団において, 登熟期に関するQTLをそれぞれ検出できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソバにおける遺伝解析の基盤となるゲノムワイドなマーカーセットおよび次世代シーケンサを用いた解析システムを開発し, その解析システムを用いて登熟期に関わるQTLを検出できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果より, ソバの生態型が日長に応答した登熟期の早晩性に強く制限さることが明らかになり, また遺伝解析の基盤となるマーカーセットおよび解析システムも開発できた. ただし, 開発した500のマーカーセットの中にはoff-target増幅によりマーカーとして使用できないものもあったため, それらのマーカーを除き, 比較的 ”疎” であった連鎖群に座乗するようなマーカーを追加し, より高精度なマーカーセットの作出を目指す. 登熟期に関するQTL解析は年次反復をとり, その効果の安定性を検証する.
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた試薬と同等の機能を持つ低価格の試薬を購入し、経費を節減した。 経費の節約により生じた未使用額については、今年度行う遺伝解析にかかる消耗品の購入に用いる。
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