2020 Fiscal Year Research-status Report
イネ1穂籾数増加遺伝子の準同質遺伝子系統における穂首維管束系と登熟特性との関係
Project/Area Number |
18K14453
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊田 真由実 名古屋大学, アジア共創教育研究機構, 特任助教 (20788418)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イネ / NERICA / 準同質遺伝子系統 / ケニア |
Outline of Annual Research Achievements |
1穂籾数増加遺伝子を導入した準同質遺伝子系統では,1穂籾数は顕著に増加するものの登熟歩合の低下により収量への貢献度が低いことが課題となっている. 本年度は,NERICA1に異なる1穂籾数増加機構をもつGn1aおよびWFPを導入した3系統 (NERICA1-Gn1a, NERICA1-WFP, NERICA1-Gn1a+WFP) と親品種であるNERICA1を供試し,ケニアの3か所の地域(ムエア,アルーペ,ムトゥワパ)において圃場試験を実施した.供試した3系統の収量構成要素を調査したところ,すべての栽培地域で,NERICA1-Gn1aの登熟歩合が最も低かった.このことから,環境要因に関係なく,WFPを導入した系統 (NERICA1-WFP, NERICA1-Gn1a+WFP) は,Gn1aのみを導入した系統より,登熟歩合を高く維持すると考えられた. また,ムエアでは,標準施肥区に加え,窒素施肥量を変化させた処理区を設けて,収量構成要素を調査した.窒素施肥量を増加させると,いずれの系統も1穂籾数は増加しにくく,登熟歩合の低下も大きかったため,籾収量は増加しなかった. 加えて,IRAT109にGn1aおよびWFPを導入した系統 (IRAT109-Gn1a, IRAT109-WFP, IRAT109-Gn1a+WFP) の収量構成要素を調査した.その結果,IRAT109に1穂籾数増加遺伝子を導入した3系統 (IRAT109-Gn1a, IRAT109-WFP, IRAT109-Gn1a+WFP) は,NERICA1に1穂籾数増加遺伝子を導入した3系統 (NERICA1-Gn1a, NERICA1-WFP, NERICA1-Gn1a+WFP) と比較し,親品種に対する登熟歩合の低下が大きかった.遺伝子的背景の違いにより,登熟歩合の低下程度が異なることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響によりケニアに渡航することは出来なかったが,ケニアのカウンターパート研究者の協力により,当初の予定通りケニアでの栽培試験を実施し,収量調査を進めた.一方,日本国内での栽培試験は,作付け時期である4~5月に新型コロナウィルスに関する緊急事態宣言が発令され,準備作業を行うことができなかったため,来年度に延期した.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,日本国内で栽培試験を実施し,籾数増加機構 (高次枝梗数の籾数の多少) の違いと登熟不良の発生程度の関係を精査する予定である.これまでに得られた成果をまとめ,学会や学術雑誌で公表する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルの影響により,調査地であるケニアへの渡航ができなかったことに加え,参加を予定していた国内学会がオンライン開催となったため,次年度繰越額が生じた.これらは,来年度,日本国内で実施する圃場試験を実施するために必要な物品費および人件費等に使用する予定である.
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