2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of yellow flavonoid butein biosynthesis pathway
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18K14455
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 翔 京都大学, 農学研究科, 助教 (10722001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダリア / 花色 / 黄色色素 / カルコン / ブテイン / イソリキリチゲニン / フラボノイド / カルコンレダクターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ブテインはフラボノイド系色素の中では珍しく鮮黄色を呈する色素であり,将来の黄色花の分子育種の標的として有望である.しかし,ブテインを生合成できるのはダリアなど一部の植物のみに限定され,その生合成に関わる遺伝子は未解明のままである.本研究では,花弁にブテインを蓄積するダリア‘祝盃’(花色:赤)と,枝変わりにより花弁のブテインを完全に喪失した‘凜華’(花色:紫)を供試し,ブテイン生合成の決定因子であるカルコン還元酵素(CHR)の遺伝子と,その他のブテイン生合成に関わる遺伝子を特定することを目的とする.将来的には,鮮黄色品種がないフラボノイド系色素のみを蓄積する植物において,ブテイン発現による鮮黄色品種の分子育種用のベクターとダリアの黄色花選抜マーカーの開発を行う. 2018年度は,CHRの候補遺伝子であるc25599について詳細に解析を行った.花弁のステージ別発現解析,組織ごと(花弁先端部・花弁基部・葉など)の発現解析を行うと,c25599の発現量は黄花ダリアの主要色素であるブテイン 4’-マロニルグルコシド(Bt4MG)の蓄積量と概ね相関がみられた.品種別の発現解析においてもc25599の発現量とBt4MGの蓄積量に相関がみられた.ブテインあるいはカルコンの有無に差異にあるキク科の植物に関してc25599のヘテロプローブRNAゲルブロットを行ったところ,ブテインあるいはカルコンを蓄積する植物からのみバンドが検出された.したがって,c25599はCHRとしての機能を有する可能性が高いと考えらえた.‘祝盃’および‘凜華’のプロモーター領域を含むゲノム配列を単離し比較したが,配列の差異は確認されず,枝変わりの原因となる変異はc25599にはないと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA-seq・花弁の発達ステージ別発現解析・部位別の発現解析・品種間の発現解析・キク科植物間の発現解析などのデータはすべてc25599がCHR遺伝子であることを示唆するものであった。したがって、本研究課題はおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
c25599の機能を調査するためにタバコにおいて過剰発現する形質転換体を作出する.合わせて今後の研究の準備、あるいはポジティブコントロールとしてDvCHS2, DvCH3H, GmCHR5, GmCHR6あるいはAmC4’GTを過剰発現するタバコの形質転換体も作出する.これらの過剰発現系統について,花弁における色素組成を調査し,上記の遺伝子が色素の生合成に及ぼす影響を調査する. また,ダリアには花弁の黄色の濃淡に差異がある品種群が存在するが,原因となるメカニズムに関しては明らかではない.そこで、黄色花品種群および白色花品種群を供試し,ダリアの鮮黄色に寄与する要因を探索する.
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Causes of Carryover |
実験内容を一部変更し、次世代シークエンスによる網羅的な解析などを見送ったためその分に余剰が出ているが、その分はタバコでの形質転換体作出に関わる実験に用いる予定である。
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