2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K14460
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
三井 裕樹 東京農業大学, 農学部, 准教授 (40613138)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 根部肥大形質の分離 / 雑種後代育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
根の肥大性は作物の収量や品質に関わる重要な形質である。本研究ではダイコンの異なる品種間で雑種後代を作出し、主にQTL-seq法を用いたゲノム解析を行うことで、根の肥大性変異の原因遺伝子を解明することを目指している。 2018年度では、根の形態形質が異なる複数の品種間交配を行い、F1雑種の作出およびF1を自殖させたF2系統を育成した。具体的には以下の6組み合わせで交配を進めた;①青首総太(中径・長円筒形)×守口 (小径・細長円錐形)、②聖護院 (大径・球形)×京都薬味(小径・球形)、③青首総太(中径・長円筒形)×聖護院 (大径・球形)、⑤青首総太(中径・長円筒形)×青丸紅芯(中径×球形)、⑥青首総太(中径・長円筒形)×黒丸(中径・球形)。全ての組み合わせでF1雑種を作出し、根形態はほぼ中間的な形質を示した。③についてF2系統を作出した結果、連続的に根の形態形質が分離したことから、根形態は複数の遺伝子座が関与する量的形質であることが示唆された。③のF2系統について、約300個体の根長、根直径を計測した結果、「根径中、根長長い」、「根径中、根長短い」、「根径大、根長短い」、「根径大、根長中程度~長い」に表現型をおおよそグループ化することができた。これらのグループ間で、QTL-seq解析によりゲノム変異を検出することで、「根の横方向への肥大性」、「根の縦方向への伸長性」といった形質変異に関連するゲノム領域を推定できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の要となる雑種後代の育成に関して、申請書に記述した通りのスケジュールで遂行できている。当初申請した交配組み合わせに加えて、新たに2つの雑種系統を作出することができた。一方、「青首総太×ハツカ」の品種間交配に関して、成長速度および開花期のずれにより交配困難であったため、進展していない。 QTL-seq解析に関して、解析に必要なDNAサンプルの抽出を1つの交配組み合わせで完了しており、2019年度の初期に解析を実行できる状況である。他の交配組み合わせに関して、抽出するDNAサンプルの数が1組み合わせあたり数百程度あるため、抽出に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、引き続きF2以降の雑種後代の育成と表現型の計測、DNA抽出を進める。「青首総太×ハツカ」に関して、人工気象器を用いて温度、光条件を調節して栽培することで開花期を同調させ交配を行う。表現型の計測に関して、SHAPEソフトウェアを用いた楕円フーリエ解析により、ダイコンの根形態を定量的に評価するための手法を確立する。 F2系統の根形態を注意深く評価して共通の形質を示す個体のグループを抽出し、同一グループのDNAをプールして次世代シーケンサーで解読し、グループ間で固定された変異を検出するQTL-seq解析を実施する。2019年度では、1~3程度の交配組み合わせについて、QTL-seq解析を実施することを目標とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたがわずかな金額であり(4,089円)、ほぼ計画通りに予算執行できたと考える。次年度も計画通り予算執行できるよう、執行計画および執行額の管理を確実に行っていく。
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