2019 Fiscal Year Research-status Report
難培養性植物細菌病の治療技術の開発および分子薬理機構の解明
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18K14465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前島 健作 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20726062)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ファイトプラズマ / 試験管内培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の篩部に寄生し代謝系を宿主に依存して増殖する細菌「ファイトプラズマ」は40種以上が知られ、世界各地で1000種以上の植物に大きな被害を与えている。治療薬剤として、1967年にファイトプラズマの発見と同時に効果を確認された抗生物質「テトラサイクリン」が唯一有効とされるが、効果は一時的で、使用を中止すると再発病してしまう。また耐性菌の出現リスクが評価された例がなく、潜在的な問題である。このように、「新たな防除・治療技術」および「耐性菌リスク評価技術」の開発が大きな課題であるが、ファイトプラズマは人工培養できないために、培地を用いた一般的な細菌に対する薬剤評価系を適用できず、ファイトプラズマの薬剤感受性・耐性に関する性状は発見から50年を経ても理解が進んでいない。そこで本研究では、これまで困難とされてきたファイトプラズマの防除・治療技術および耐性菌リスク評価技術を開発することを目的として、培養系が確立されていないファイトプラズマを植物ごと培地上で培養する「試験管内培養系」を用いることで薬剤スクリーニングを実施する。今回、本実験系を用いて薬剤を継続的に処理することにより、ファイトプラズマ蓄積量が検出限界以下に低下することを確認し、さらに薬剤処理を停止した後も検出限界以下の状態が継続したことから、ファイトプラズマが完全に除去された(ファイトプラズマフリー化された)と考えられた。また、各種薬剤の標的となる遺伝子領域について配列解読をおこなったうえで、感受性/耐性との相関を解析し、配列情報から感受性/耐性をある程度推定可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでファイトプラズマに対する薬剤治療は困難とされてきたが、本実験系において薬剤治療可能であることが示された。また、配列情報に基づく分子薬理機構に関する基盤的知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、有効な薬剤を比較選抜することによりファイトプラズマ病治療薬の選定を実施する。
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Causes of Carryover |
高額な消耗品類の購入を次年度に予定しているため。 当該研究費は、基本的には実験のための消耗品の購入に充てる予定である。高額な機器の購入予定は無い。
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Research Products
(2 results)