2019 Fiscal Year Annual Research Report
Control of root colonization of mutualistic and pathogenic fungi via plant phosphate starvation responses
Project/Area Number |
18K14466
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
晝間 敬 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (20714504)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内生菌 / リン欠乏 / 細胞タイプ / 二次代謝物 / 病原菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物の成長をリン欠乏条件下に促す内生糸状菌Colletotrichm tofieldiae (Ct)の植物生長促進およびその感染制御に関わる植物の転写因子PHR1の作用機構を理解することを目的としている。 昨年度に、Ctがシロイヌナズナの根に感染中にPHR1がリン酸トランスポーターなどの栄養吸収に関わる因子群を制御すると共に、一部の防御関連遺伝子群の発現を正に制御することを明らかにした。今年度は、防御関連遺伝子群に着目して研究を進めたところ、アブラナ科植物が生産するトリプトファン由来の二次代謝物の合成および制御に関わる遺伝子群が含まれていることを見いだした。これらの遺伝子群は、病原菌であるC. incanumが感染した際にもPHR1によって制御されていた。特に、抗菌物質であるカマレキシンなどの合成に関わるCYP71A12およびCYP71A13遺伝子が顕著にPHR1によって制御されていた。そこで、これらの遺伝子群がCtの感染制御に関わっているか調査したところ、インドールグルコシノレート合成が欠損した変異体下でCYP71A12およびCYP71A13がCtの感染を抑えていることが判明した。 次に、PHR1の機能が根の細胞タイプ特異的に変化している可能性を検証するため、PHR1-GFPを特定の根の細胞タイプに限定して発現させるphr1変異体を作出した。それぞれの細胞タイプで発現させたPHR1-GFPは、予想した細胞タイプでの特異的な局在が認められた。さらに、Ctによる根の植物生長促進効果は、根毛非形成細胞および内皮細胞で発現させたときに顕著に回復した。一方で、Ctによる地上部の生長促進に関しては、両者の植物間で質的に異なる応答が認められた。以上から、PHR1は異なる細胞タイプで共通した役割を持つ一方で、特定の細胞タイプだけが有する機能を持つことが考えられた。
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Research Products
(4 results)