2018 Fiscal Year Research-status Report
Is plant immunity inhibited by abscisic acid produced from a phytobacterium?
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18K14468
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
藤原 和樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (40725008)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カンキツグリーニング病 |
Outline of Annual Research Achievements |
カンキツグリーニング病を引き起こすCandidatus Liberibacter asiaticus(Ca. L. asiaticus)は、他の細菌と異なるアブシジン酸合成経路を有しており、さらに外因性のアブシジン酸に応答して増殖の誘導が認められる。植物では、環境ストレスに応答するアブシジン酸と病原体への防御応答に関わるサリチル酸との間で拮抗的なクロストークが知られていることから、宿主植物に侵入したCa. L. asiaticusは、植物由来及び自身が合成するアブシジン酸を増殖誘導因子として利用するだけでなく、サリチル酸シグナル伝達経路による免疫応答を抑制し、感染を成立させているのではと考えられた。そこで本研究では、グリーニング病とアブシジン酸との関連について解明する。 本年度は、Ca. L. asiaticusのアブシジン酸利用能および産生能の解明を行った。グリーニング病感染カンキツにおいて、Ca. L. asiaticusの増殖およびグリーニング病の発病に伴い、植物体中のアブシジン酸量が低減し、さらに培養試験においても同様の現象が認められた。一方で、Ca. L. asiaticus由来アブシジン酸の産生は認められなかった。次に、マイクロトムの植物ホルモン変異株にCa. L. asiaticusを人工接種したところ、アブシジン酸関連変異株において、植物体におけるCa. L. asiaticusの増殖が抑制された。よって、Ca. L. asiaticusは植物由来アブシジン酸を利用することで感染を成立させていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Ca. L. asiaticusのアブシジン酸利用能および産生能について研究計画通り試験を実施し、新たな知見を創出した。また、グリーニング病発病メカニズムとアブシジン酸との関連について、マイクロトムのアブシジン酸生合成変異株等を供試した接種試験も複数回実施し、現象の再現性を確認しており、次年度計画のための解析用サンプルについて既に収集しているため、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Ca. L. asiaticusはアブシジン酸の利用能を保有していることが明らかとなったものの、アブシジン酸分解産物とCa. L. asiaticus増殖および植物の免疫応答機構との関連については不明である。また、Ca. L. asiaticusが保有するアブシジン酸合成経路について、アブシジン酸合成能が認められなかったため、その代謝経路の役割についても明らかになっていない。そこで、Ca. L. asiaticusのアブシジン酸シグナル応答機構および関連代謝経路の解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた病原体由来アブシジン酸の解析をとりやめたため、平成30年度の研究費に未使用額が生じたが、令和1年度にアブシジン酸分解産物の関連試薬を購入し、病原体由来アブシジン酸分解産物の解析を実施する。
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Research Products
(1 results)