2018 Fiscal Year Research-status Report
ネムリユスリカの乾燥耐性メカニズムの全容解明に向けたゲノムワイド・スクリーニング
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18K14472
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 佑吾 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 研究員 (70623453)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乾燥耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギーフリー長期安定保存技術の開発に向けて、ネムリユスリカの乾燥耐性能は長らく注目を浴びてきた。しかしながら、その乾燥耐性メカニズムの分子基盤は全く不明であった。そこで、申請者はネムリユスリカの乾燥耐性を司る因子を同定するため、検討を行った。 私たちはまず、分子生物学実験の基本でもある、過剰発現系の構築を目指した。ネムリユスリカ細胞では、市販の恒常活性プロモーター(OpIE2プロモーターやCMVプロモーター)が全く機能しなかったので、私たち自身でプロモーターを構築する必要があった。そこで私たちは、ネムリユスリカで常に高発現している遺伝子、Pv.00443に着目し、この遺伝子のプロモーター領域を抽出した。その結果、1333bpの恒常活性プロモーター(121プロモーター)を同定でき、ネムリユスリカ細胞における外来遺伝子の過剰発現系を確立した。 次に、このプロモーターを用いて、ネムリユスリカ細胞におけるゲノム編集技術の開発を行った。121プロモーターを用いることで、ネムリユスリカ細胞で機能的なCas9タンパク質を発現させることに成功した。また、CRISPR/Cas9システムを用いることで、任意のDNA配列をノックインすることに成功した。これにより、①ノックアウト細胞を樹立することと、②「乾燥耐性能を維持」しつつ「外来遺伝子を安定的に発現する」細胞を樹立することに成功した。 以上より、ゲノムワイドスクリーニングの基盤となる技術を取得できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネムリユスリカ細胞において、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集技術の取得を予定通り終えた。この技術により、ゲノムワイドスクリーニングに必要な技術がそろったこととなり、おおむね予定通り研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳類細胞で行われているゲノムワイドスクリーニングの手法に従って研究を進めていく。まず、ゲノム編集の効率を上昇させた細胞株を作る。同時に、gRNAライブラリの作成を行い、ネムリユスリカ細胞に適したライブラリノックイン方法を構築する予定である。以上により、スクリーニングの精度を高め、少ない試行でも、候補遺伝子の探索を行い易くできる。その後、候補遺伝子のノックアウト細胞を構築する予定である。
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Research Products
(2 results)