2019 Fiscal Year Research-status Report
サンゴ種間での感染率の違いに着目したブラックバンド病大発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K14479
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 俊幸 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (00814526)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | サンゴ / ブラックバンド病 / 自然免疫応答 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1. サンゴ種間でのBBD感染率の比較と細菌叢解析に用いるサンプル採集、2. Vibrio感染をモデルケースとしたミドリイシ免疫応答のトランスクリプトーム解析を行った。 1. BBD感染組織を1 cm角の大きさに切断後、サンゴへ接触させた状態でバンド固定することで、BBDを人為的に感染させた。コモンサンゴ、ハマサンゴ、ミドリイシに対して人為的なBBD感染実験を行った。コモンサンゴは感染率が最も高く、実験に用いた5個体全てにおいて感染を確認し、感染18日後には5個体全てが死滅した。一方で、ハマサンゴは、5個体中4個体で感染を確認したが、BBD感染部位の進行は5mm程度に止まっていた。9-12日後には感染4個体全てにおいてブラックバンドが消失したことから、ハマサンゴはBBDに対してなんらかの防御機能を備えていると考えられた。ミドリイシは、5個体中3個体で感染を確認した。感染個体は4-6日でネクローシスを引き起こし、全て死滅した。さらに、細菌叢の経時的な変化を調べるために、コモンサンゴ、ハマサンゴ、ミドリイシのBBD感染3日後及び7日後のサンプルを回収した。 2. BBDは複雑な細菌叢によって構成されるPolymicrobial diseaseである。そこで、よりシンプルな病原菌の感染実験を行い、サンゴ自然免疫機構を詳細に明らかにするために、病原菌Vibrio coralliilyticus培養株を用いたコユビミドリイシに対する感染実験とそのトランスクリプトーム解析を行った。非感染コントロールとVibrio感染サンプルの比較トランスクリプトーム解析を行った。Vibrio感染初期(感染後5~180分)の遺伝子発現変動を経時的に観察することで、サンゴのVibrioに対する初期免疫応答を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に確立した接触感染法を用いて、コモンサンゴ、ハマサンゴ、ミドリイシに対して高い再現性でBBDを感染することができた。これらの細菌叢の経時的な変化を調べるため、再度BBD感染実験を行い、目標としていたサンプルの回収・冷凍保存を完了した。また、Vibrio感染をモデルケースとしたミドリイシ免疫応答のトランスクリプトーム解析を行い、ミドリイシのVibrioに対する初期免疫応答を明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
BBDが感染したサンプルからDNAを抽出後、MiSeqを用いた16S rRNA解析により細菌叢を調べる。細菌叢の経時的な変化を調べるために、コモンサンゴ、ハマサンゴ、ミドリイシの未感染サンプル、BBD感染3日後及び7日後の各サンプルについて16S rRNA解析を行う。
|
Causes of Carryover |
16S rRNA解析を次年度行うため。
|
Research Products
(3 results)