2023 Fiscal Year Annual Research Report
Creation and loss of relational value of dryland sand dunes
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18K14485
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮坂 隆文 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (80635483)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 衛星リモートセンシング / 関係価値 / 景観評価 / 公園管理 / 砂丘 / 中国国家砂漠公園 / 牧民 / モンゴル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中国の国家砂漠公園の中で代表的な5公園を選定し、それらの環境変動を時系列衛星画像により解析した。また、モンゴルのエルセンタサルハイ地域およびビゲル郡においてこれまでに行った砂丘の価値認識調査のデータを統合し、解析を行った。 5つの国家砂漠公園(内蒙古奈曼宝古図(BGT)、内蒙古庫布其七星湖(QXH)、内蒙古翁牛特勃隆克(BLK)、新疆岳普湖達瓦昆(DWK)、新疆生産建設兵団駝鈴梦坡(TLMP))において、2013年から2022年までの夏季のLandsat画像を収集し、植生指標(SAVI)、土壌指標(BSI及びTGSI)、水分指標(NDMI)をもとに環境変動を分析した。さらに、上記環境変動と気象(気温、降水量、風速)の変化との対応を解析した。その結果、BGTとQXHの環境は改善傾向にあり、気象変化との対応は認められなかった。一方、DWKとTLMPの環境は安定傾向、BLKは劣化傾向にあり、どちらの変動性も気象変化と対応していた。BGTとQXHでは公園管理により環境が改善した可能性が示唆された。 モンゴルの二地域において計150名から収集したデータを用いて、まず居住地と職業をもとに、砂丘の利用方法が異なる5つのグループに回答者を分類した。この利用タイプと年齢を説明変数、植生被度の異なる3種類の砂丘(固定砂丘、半固定砂丘、流動砂丘)に対する評価尺度(生態系の供給サービスや文化的サービス等に関する14の尺度)の評価値を応答変数として、重回帰分析を行なった。日常的に砂丘で放牧を行っているエルセンタサルハイと砂丘をあまり利用しないビゲルの遊牧民を比較すると、前者は特に供給サービスの面で流動砂丘を含むどの砂丘に対しても高い評価を示した。遊牧民に比べ、外部からの来訪者は全体的に低い評価が得られ、特に都市部からの来訪者が多いエルセンタサルハイでの評価値が低かった。砂丘との関わり方の違いに応じて、砂丘に見出す価値も多様であることが明らかとなった。
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