2019 Fiscal Year Research-status Report
地域における木材流通を再構築するための新たなシステムの検証と付加価値の創出
| Project/Area Number |
18K14500
|
|---|
| Research Institution | Mie University |
|---|
Principal Investigator |
渕上 佑樹 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (30747895)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 木材流通 / 国産材 / 地域材 / GHG排出量 / ライフサイクルアセスメント / 経済波及効果 / 産業連関分析 / 木材利用 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
全国的には原木流通の集約化・効率化が進んでいるが、三重県においては現在も原木市場が、優良材を生産する山側と中小規模の製材工場を結ぶ調整機能を果たしている。この原木市場の機能に着目した流通構造の調査を2018年度から実施している。2019年度は「複数の原木市場の入出荷データの時系列分析による市況の解析」および「大規模な林業事業体の出荷する原木に焦点をあてた分析」をそれぞれ実施した。この結果から、三重県の原木流通の一部を解明できた。成果については学術誌において発表した。また、2018年度に調査を行ったCLT工法を用いた木造非住宅建築物のGHG排出量の定量的評価については、成果をとりまとめ学術誌に投稿を行った（採択済。2020年度掲載予定）。2019年度はさらに、県内の中小規模の製材所が製造する木材製品のGHG排出量の定量的評価を実施した。この成果についてもとりまとめを行い学術誌に投稿を行った（採択済。2020年度掲載予定）。
木材の流通構造の調査は、京都府においても2018年度から継続して実施している。2018年度に実施した調査結果をもとに、木材の産地や加工地の違いが京都府内の経済に与える影響に関する論文を執筆し、学術誌において発表した。また、2019年度も京都府内の木材加工事業者および木材消費者の実態把握のための調査を実施した。
また、国産材のエクステリアへの用途拡大を考えた場合に、新たな製品として注目されている、木材・プラスチック再生複合材への国産材の利用について検討を行い、GHG排出量の定量的評価を実施した。この成果についてはとりまとめを行い学術誌に投稿を行った。
最後に、2018年度に引き続き、今年度も林業・木材産業の先進国であるオーストリアの調査を行った。製材事業者の経営の実態についてヒアリング調査を行い、この報告を業界誌に投稿した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度に実施した調査結果のほとんどを、論文、報文等としてまとめ学術誌等において公表することができた。また、2019年度から新たにいくつかの調査を開始することができたため、今後の研究の推進・発展の見込みもある。
|
| Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は木材流通における中小規模の製材所の位置づけを明らかにするとともに、中小規模の製材所および製材する製品の実態を経営、地域貢献、環境貢献などあらゆる面から定量的に評価することで解明し、今後の木材流通構造の大きな変革の流れの中で生き残るための戦略を得ることにある。
そのための知見をこれまでの研究によって蓄積してきたが、今後はこの知見をもとにどのような分析・考察を行っていくかが重要であり、多様な研究協力者と議論を深める必要がある。
2019年度までは、研究の対象地である三重県と京都府について、それぞれの地域特性に合わせた調査・研究を実施してきたが、これからとりまとめの時期に入るにつれて、相互の比較研究および、先進地として視察を行ってきたオーストリアとの比較研究などへと発展させていく予定である。
|
| Causes of Carryover |
データ整理等にアルバイトを雇用し賃金を支払うことを計画していたが、収集したデータの整理が専門性を有するものであったため、自身で行うことにした。また、海外調査の旅費については旅程の一部変更、為替の影響などによって計画との差額が生じた。これらによって、次年度使用額が生じる結果となった。
翌年度分として請求する助成金については、主に人件費・謝金として雇用するアルバイト等への賃金支払いに使用する計画である。
|
