2020 Fiscal Year Research-status Report
ソコダラ科トウジン属魚類の種多様性、系統分類、および形態進化の解明
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18K14509
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中山 直英 東海大学, 海洋学部, 助教 (40781894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 深海魚 / 分類学 / 生物多様性 / 形態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の3年目となる令和2年度は,日本周辺の北西太平洋に出現する種を重点的に再検討した.本海域に2新種を含む25種が分布することを明らかにし,新種記載を行うとともに,学名の同異が混乱していた普通種や,形態学的情報が不足していた稀種を再記載した.異名関係では従来の研究で有効とされてきたテングヒゲCoelorinchus productus Gilbert and Hubbs, 1916,ホシヒゲC. asteroides Okamura, 1963,およびマバラヒゲC. sparsilepis Okamura and Yatou, 1984が,それぞれネズミヒゲC. anatirostris Jordan and Gilbert, 1904,カタヒゲC. hige Matsubara, 1943,およびソロイヒゲC. parallelus (Gunther, 1877)の新参異名であることを明らかにした.また,これまでタイワンソコダラC. formosanus Okamura, 1963の新参異名として考えられてきたC. abbreviatus Chu and Lo, 1963とC. intermedius Chu and Lo, 1963を,ヤリヒゲC. multispinulosus Katayama, 1942の新参異名として認めた.さらに,上記の25種を形態学的特徴から8種群+1種[テナガダラC. macrochir (Gunther, 1877)]に整理し,これらの種群に含まれる他海域産の種を明らかにした.この過程において,本属全有効種の形態学的特徴を検討・整理した.これらの研究結果を,同海域に出現する他のソコダラ科魚類の分類学的成果とともに,380ページ超のモノグラフとして出版した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では,本年度中にヨーロッパ,アメリカ,および東南アジアなどの博物館や研究施設を訪問し,現地で所蔵標本の調査を行う予定であった.しかし,新型コロナウィルスの感染・流行に終息の兆しが見えないため,これらの調査を中止せざるを得なかった.また,ウィルスの蔓延に伴う遠隔授業の開始など,当初に想定していなかった本務の仕事が生じ,本課題に十分なエフォートを割くことができなかった.研究成果の一部は大型の論文として出版することができているものの,研究全体としては進捗が遅れていると言わざるを得ない.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの流行で海外への渡航が難しいため,国内外の研究機関から借用している標本を重点的に観察し,本研究の過程で発見された新種の記載や過去の情報が少ない種の再記載を行う.また,遺伝的形質に基づき属内の系統関係を明らかにし,本属の亜属レベルの分類体系を再検討する.得られた情報をこれまでの研究成果や文献情報と統合することにより,本属全体の種多様性の全貌を明らかにする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの国際的な流行により,本研究予算の大くを占める国外での標本調査が中止となったため,計画変更に伴う次年度使用額が発生した.生じた予算は遺伝的解析の充実や論文のオープンアクセス化などに充てる予定である.
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Research Products
(4 results)