2019 Fiscal Year Research-status Report
海洋中・深層における低次食物網構造の解明:細菌で結ぶマリンスノー食物網
Project/Area Number |
18K14515
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
佐野 雅美 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (00814732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マリンスノー / 沈降粒子 / バクテリア / メタゲノム / 南大洋 / ゲルセジメントトラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
南大洋航海でゲルセジメントトラップにより水深50mから500mにかけた3層から採集したマリンスノー試料について、以下の2つを行った。 (1)現場で取得したゲルセジメントトラップ捕集面の画像を解析し、形状に基づく粒子のタイプ分けと各タイプの有機炭素粒子束における寄与率を明らかにした。その結果、深度間で寄与する粒子のタイプは大きく変化し、水深50mではfecal pelletが主体であったが、水深200mではfecal pelletが大きく減少した一方、分解中のfecal pelletと不定形の凝集体が増加し、水深500mでは不定形の凝集体が有機炭素粒子束の80%を占めた。沈降過程でfecal pelletから次第に分解され不定形の凝集体へと全体的に変化したことが推測された。また、fecal pelletについてはサイズ・形状が各深度間で異なっていたことから、それらのfecal pelletは深度間で一度は沈降粒子食者により消費・リパッキングされたと考えられた。 (2)次世代シーケンサーによるマリンスノー各種のメタ16S・18S解析を行った。(1)と同様の基準でマリンスノーをタイプ分けし、個々のマリンスノーからDNAを抽出、PCRした後、Miseqによるアンプリコンシーケンスを行った。得られたデータについて解析を進めており、細菌叢および構成する真核生物相に特徴があることがマリンスノーのいくつかのタイプで認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた、南大洋航海でゲルセジメントトラップにより表層・中層から採集したマリンスノー試料の画像解析、および各種マリンスノーのメタ16S・18S解析を行うことが出来た。その結果、想定通り細菌叢・真核生物相に特徴があることがマリンスノーのいくつかのタイプで確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、南大洋航海で採集した試料を用いて、分析・解析作業を進める。まず、今年度メタ16S・18S解析を行っていない一部のマリンスノー試料の分析を進める。また、動物プランクトン試料のソーティングを行い、セジメントトラップを設置した各深度における主要種を求め、分析の対象とする動物プランクトン種を決定する。その後、分析対象種の消化管内容物のメタ16S,18S解析を行い、細菌叢・真核生物相の組成の比較を行い、動物プランクトン各種が摂食するマリンスノーのタイプを求め、本研究の目的であるマリンスノーと動物プランクトン間における食物網構造を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた次世代シーケンス解析の一部を次年度に繰り越したため、その分の次年度使用額が生じた。そのため、次年度使用額はその次世代シーケンス解析の外注費に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)