2021 Fiscal Year Research-status Report
海洋中・深層における低次食物網構造の解明:細菌で結ぶマリンスノー食物網
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18K14515
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
佐野 雅美 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (00814732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動物プランクトン / 沈降粒子 / 食性 / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、動物プランクトン各種の消化管内容物のメタ16S・18S解析、およびこれまでに得られていた沈降粒子の細菌叢データの解析を進めた。 固定保存試料のソーティングにより得られた動物プランクトンの鉛直分布データを基に分析対象種の候補を絞った。凍結保存試料を解凍後、対象種の内、消化管内容物の確認された種について消化管内容物を実体顕微鏡下で取り出し、DNAを抽出、PCRした後、Miseqによるアンプリコンシーケンスを行った。分析には、セジメントトラップを設置した各水深で主要な構成種であった、有殻翼足類、オキアミ類、カイアシ類などの種を対象とすることが出来た。得られた細菌叢および真核生物群集構造のデータは現在解析を進めているが、現段階でもどちらも各種で特徴的な傾向が見られており、今後沈降粒子データとの比較により、摂食するマリンスノーのタイプが明らかになるものと思われる。 また、沈降粒子の細菌叢データ解析については、UniFrac解析の結果、小型糞粒は表層から中層の各深度間で差が認められた一方、大型糞粒では深度間で差が見られず、大型糞粒は表層から中層まで状態が変化せず沈降していたことが推定されたなど、画像解析で得られていた沈降過程の推定とも矛盾のない結果が得られており、これについては学会発表を行った。一方で、解析の結果ゲルセジメントトラップに使用したゲルからの影響があることが懸念されたため、現在この点について再解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により実験予定に大きな変更が生じた昨年度の遅れがそのまま影響している。沈降粒子および動物プランクトン消化管内容物の細菌叢・真核生物群集構造の分析は今年度で終了することができた。現在は得られたデータの詳細な解析を進めている段階であるが、現段階では動物プランクトン各種でそれぞれ特徴的な傾向が見られており、沈降粒子との比較が待たれる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は得られたすべてのデータを用いた詳細な解析を進め、とりまとめを行う。各動物プランクトン種の鉛直分布、沈降粒子の画像解析データ、沈降粒子・動物プランクトン消化管内容物の細菌叢・真核生物群集構造の比較などのデータを総合的に解釈し、動物プランクトン各種が摂食するマリンスノーのタイプを求め、本研究の目的であるマリンスノーと動物プランクトン間における食物網構造を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により実験予定に大きな変更が生じた昨年度の遅れが影響し、予定していたとりまとめが次年度にずれ込んだため、その分の次年度仕様額が生じた。次年度仕様額は、主に英文校閲費用に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)