2019 Fiscal Year Research-status Report
ネオジム同位体比分析によるブリの海域間移動履歴推定手法の確立
Project/Area Number |
18K14518
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
古川 誠志郎 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 日本海区水産研究所, 任期付研究員 (90701235)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブリ / 移動履歴 / Nd同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、重要な漁業資源であるブリの日本海-太平洋間の移動履歴を、魚体に蓄積されるネオジム(Nd)の同位体比(143Nd/144Nd)に着目して、これを再現する手法の開発を行うことであった。これを達成するために、回遊経路と再捕獲された個体の魚体組織中のNd同位体比値の同時取得を試みて、「日本海-太平洋間の移動履歴」と「魚体中のNd同位体比」の関係を調べる予定である。研究代表者らは、昨年度に、所属研究機関でブリを対象として得られたアーカイバルタグデータを用いて、魚体のNd同位体比と対比させる移動履歴を高精度に推定するモデルの開発を行った。本年度はこのモデルを精査して取りまとめ、国際学術誌に投稿して受理されるまでに至った。その一方で、収集した魚体サンプルのNd同位体比を測定する試みについては、前処理プロトコルの作成に想定以上の期間を要したことに加え、昨年度末頃から新型コロナウイルス流行の影響を受けて、研究代表者の所属機関外への移動を伴う測定業務が大幅に制限されたことにより、やや遅れが生じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に必要な移動履歴の推定と魚体のNd同位体比の測定において、前者はデータの蓄積・解析方法の開発においておおむね予定通りに進呈している。一方、後者においては、前処理プロトコルの確立に想定以上の期間を要したことに加え、新型コロナウイルスの流行対策で所属機関外への移動を伴う業務が大幅に制限されたことが遅れを生じさせる原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究代表者が外部研究機関を利用した測定業務等が制限される可能性があるが、可能な部分は外部委託で処理を行う等の予定変更を行い、サンプルの処理を順次実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
Nd同位体比分析に関する分析業務、特に研究代表者が外部機関で自ら実施する予定であった業務が本年度に実施できなかったため、次年度に実施する予定で、これに係る物品費、旅費、外部委託費を次年度に使用する。
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