2019 Fiscal Year Research-status Report
イカ類の性分化、性成熟における生殖腺組織構築及びGnRH作用メカニズムの解明
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18K14521
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村田 良介 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 助教 (40809159)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カミナリイカ / GnRH / 性分化 / 性成熟 |
Outline of Annual Research Achievements |
カミナリイカの性分化に果たす役割を明らかにするために、性的に未分化なカミナリイカの胚が持つ外部卵黄嚢に生理食塩水に溶かした合成GnRHを注入し生殖腺発達へのGnRHによる影響を組織学的に調べた。しかし、GnRHの濃度に関わらず性比及び生殖腺組織への影響は認められなかった。抗GnRH抗体投与による阻害実験も同時に実施したが、こちらも性比及び生殖腺性分化への影響は見られなかった。試薬の注射により孵化率は50%ほど低下することが分かった。 カミナリイカGnRHの性成熟に果たす役割を調べるために、繁殖期、非繁殖期の本種の脳におけるGnRH発現プロファイルを明らかにした。頭足類の繁殖を制御していると考えられている視柄腺においては、非繁殖期に高いGnRH発現を示したのに対し、繁殖期には低い発現を示した。これとは逆に外套内蔵葉におけるGnRH発現は非繁殖期に低く繁殖期に高くなる傾向を示した。以上の結果から、カミナリイカのGnRHは脳内の部位毎に繁殖に果たす役割が異なることが示唆された。 カミナリイカ及びアオリイカの繁殖期及び非繁殖期の生殖腺からステロイド抽出を行い、エストラジオール17ベータとテストステロン量を測定したところ、個体によって値に大きなバラつき(10~900 pg/ml)が認められ、生殖との関与は不明であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 投与実験の結果からカミナリイカの性分化におけるGnRHの関与は低いと予測することができた。この結果は現在投稿準備中である。 2.生殖腺の成熟に伴う脳内GnRH発現プロファイルをmRNAおよびタンパクレベルで明らかにすることができ、本種のGnRHが性成熟に関与している可能性が強く示唆された。 3. カミナリイカの育成に失敗したため、未熟個体へのGnRH投与実験が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. カミナリイカを育成し未熟な個体へのGnRH投与実験を行い成熟誘導が可能かどうか確かめる。 2. 性分化直後の卵巣、精巣のRNAseq解析を行い、性分化関連因子の網羅的探索を行う。 3. 性分化に及ぼす水温の影響を実験学的に調べる。
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