2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム情報を利用した育種手法による形態異常軽減技術の開発
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18K14525
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
宇治 督 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 主任研究員 (40372049)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺体類 / ササウシノシタ / 形態異常 / RAD-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類の種苗生産現場において形態異常魚の出現は大きな経済的損失を伴うため、古くから問題として存在し、今日でも変わらず大きな問題であり続けている。この形態異常の問題に対して、現在の次世代シーケンサー(NGS)技術は、何百万ものDNA分子を短期間で配列決定できる技術であり、大量の一塩基多型情報を利用した育種による解決の可能性を提示する。つまり、形態という形質が、一般的な育種目標形質である成長や耐病性などの形質と同様に、育種における選抜改良で改善できるかどうかというのは大きな問いである。そこで、本年度はこの問いに答えるために、形態異常が多発する飼育条件での解析家系の作出を行った。具体的には、天然ササウシノシタ親魚28匹の集団から自然産卵により2度に渡り受精卵を得て、形態異常が多発する高密度試験区2水槽(それぞれ約100匹/Lと 200匹/L))と対照区2水槽(それぞれ約2匹/Lおよび 約3匹/L)で飼育を行った。約10ヶ月後において高密度試験区はそれぞれ432匹および677匹生存している。平均全長はそれぞれ41.0±7.8(平均全長mm±標準偏差、n=50)および40.7±7.7(平均全長mm±標準偏差、n=50)である。対照区は2水槽とももともとの数が少なかったため全滅した。高密度試験区の稚魚は引き続きPitタグを装着できるまで飼育を継続する。また使用した天然ササウシノシタ親魚すべてにPitタグを装着しDNAを抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飼育条件が高密度という試験設定のため成長が遅く若干計画から遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
成長の遅れている高密度試験区の飼育数を間引くことで早急に成長させる。また飼育水温を上げることでも成長を促す。成長させた稚魚は約200匹ずつにPITタグを装着し、表現型解析を行い、DNAを抽出し、RAD-seqライブラリーを作成する。作成したライブラリーをillumina NextSeq500でシーケンスを行い、配列を決定する。次にRAD-seq配列から高精度の遺伝子型情報を得る。
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Causes of Carryover |
高密度試験区は試験設定である高密度という飼育条件のため想定以上に成長が遅かった。そのため、これらの稚魚のDNA抽出およびRAD-seq解析に用いる予算を次年度に使用することにした。
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