2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of technology to reduce abnormalities by breeding using genomic information
Project/Area Number |
18K14525
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
宇治 督 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), グループ長 (40372049)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 異体類 / 形態異常 / 育種 / RAD-seq / 黒化 / 遺伝率 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類の種苗生産現場において形態異常魚の出現は大きな経済的損失を伴うため、古くから問題として存在し、今日でも変わらず大きな問題であり続けている。本研究は、小型の異体類であるササウシノシタを用いて、形態異常という形質が一般的な育種目標形質である成長や耐病性などの形質と同様に、ゲノム情報を用いた選抜育種で改善できるかどうかを明らかにすることを目的とする。 今年度は、稚魚全個体の表現型解析を行い、同一家系間の交配を避けるなどの近交度を考慮した上で形態異常を軽減するような交配計画を策定する。表現型として8家系154個体から全長および形態異常のうち最も頻度の高かった黒化の表現型情報(黒化面積の割合)を取得した。黒化の割合の平均値±標準偏差は8.12±5.2%であった。全長と黒化の表現型ともに家系間で大きな違いが見られた。RAD-seq解析で取得した11,418SNPsの情報を用いてrrBLUPで遺伝率を求めたところ、全長と黒化の遺伝率はそれぞれ約57%と約44%と推定された。黒化についてOptiselで近交度の上昇を1%以内した上で遺伝的獲得を最大化する交配計画を検討したところ、育種価の集団平均が0.010から次世代では-1.579に改善することが期待された。以上のように、一般的な育種目標形質である成長に関わる全長などの形質とともに、異体類で問題となっている主要な形態異常である黒化についても選抜育種で改善できる可能性が示唆された。
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