2020 Fiscal Year Research-status Report
酪農における産業集積の経済の発現メカニズムの解明と増進方法の検証
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18K14528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 智明 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60748523)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酪農生産 / 労働生産性 / 技術進歩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新型コロナウイルス感染症の影響により対面での調査が困難であったため、当初主要部分は対面で実施することを予定していた聞き取り調査を農協を通したアンケート形式の調査に切り替えて行った。 調査の内容は酪農の個別経営における労働時間と労働内容のデータ収集が中心であるが、それに加えて外部委託組織や省力化用の自動化機器の利用状況、酪農生産関連の情報収集の方法など経営外の組織をどのように活用しているかの情報を収集した。合わせて、農協で収集している個別経営の情報やクミカン、乳検情報等の業務データの収集と使用許可を得て匿名情報としてアンケートデータと組み合わせた。このことにより、特に生産費調査等でも十分把握できていなかった大規模経営を含めた酪農経営の生産性を分析するためのデータベースを作成することが出来た。なお、データベースの作成を行ったのは根釧地区で協力を得ることが出来た2農協に所属する酪農経営についてであり、約400経営分のデータを収集することが出来た。 酪農経営の繁閑の関係でアンケート時期が年明けとなったため現在のところ簡易的にしか分析が行えていないが、生産費調査の調査対象区分の最大値である搾乳牛100頭規模の飼養頭数を超えたあたりで経営あたりの労働時間の上昇が緩やかになってくること、昨今導入の進んでいる自動搾乳機などの自動化機械の導入によって労働内容の構成が変わってくることなどが荒い検討ながらも見えてきている。これらについてより精密を行っていくことがこれから求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で十分に現地調査を行うことが出来ておらず、データ収集の準備に多くの時間を要した。また、大規模なデータの入力を行うための雇用ができなかったため、入力に時間を要しており、データ分析に十分な時間を投入するにはいたっていないため、最終的な分析結果を示すには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したデータをもとに基礎的な分析を行い、現地に還元するとともに経済モデルの構築にあたって必要な情報の収集、モデルの精緻化を進める。 それらの情報をフィードバックし、酪農経営の生産性に対する地域内の支援組織や情報交換の影響について計量的な分析を行い、地域農業支援の効果的な構築方法について検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響から対面での現地調査を行うことが出来ず、Zoom等を使用した対面調査に切り替えたために現地調査に伴う旅費の支出を行うことが出来なかった。 大学院生の雇用に関しても同様の理由で行うことが出来なかった。 また、報告を予定していたヨーロッパ農業経済学会が2021年夏に延期になったことで旅費支出はさらに少なくなっている。
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