2019 Fiscal Year Annual Research Report
Food Self-sufficiency and Market Stability: A Cost-benefit Analysis
Project/Area Number |
18K14533
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
田中 鉄二 摂南大学, 経済学部, 講師 (40803482)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自給率 / 穀物 / 応用一般均衡モデル / 時系列モデル / パネルデータ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
「食料自給率は食料安全保障を達成するために有効な手段か」という長年続く疑問が本研究の中核にある。しかしながら、この疑問に直接取り組む数量的研究は殆ど存在しなかった。本研究では穀物自給率の向上が国内市場安定に役立つかどうかを応用一般均衡モデル、時系列モデル、そしてパネルデータモデルを用いて分析した。 一般均衡モデルを用いた分析では日本の小麦市場を対象として小麦の生産性ショックと主要輸出国であるアメリカ、カナダ、オーストラリアが輸出規制を行った場合の政策効果を計測した。その結果、高自給率は日本の家計の厚生の悪化を軽減する効果を持つことが明らかになったが、国内の生産性変動が輸出国のそれらよりも大きいため、必ずしも高自給率が国内市場安定に寄与するわけではないことも判明した。 時系列モデルとパネルデータモデルを使用した研究では小麦、大豆、トウモロコシの各市場について国際的な価格伝達性を分析した。即ち、国際価格の変動がどの程度、国内価格の変動に影響を与えるかを様々な国を対象として検証した。殆どの対象国に国際価格の影響は見られ、その伝達の度合い(強さ、弱さ)はその国のその穀物の自給率に関連していることが明らかにされた。また、国際価格と輸出国の国内価格の関係性も分析した。この研究では国際価格と国内価格は相互に影響し合っていることが分かった。更に、高自給率はそれらの関係性を弱める事が分かった。 これらの研究はJournal of Food Security、Palgrave Communicaitons、Journal of Risk and Financial Managementに出版された。その他の論文については専門雑誌にて審査中である。
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Research Products
(6 results)