2018 Fiscal Year Research-status Report
機械学習とMASを活用したAIによるオーダーメイド型地域農業動向予測モデルの構築
Project/Area Number |
18K14534
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
寺谷 諒 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 研究員 (60781698)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機械学習 / 人工知能 / マイクロシミュレーション / 農業経営体 / 地域農業 / 農林業センサス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域農業における将来的な農業経営体数や農地利用状況の変化を予測できるような地域農業動向予測モデルを開発することを目的としている。 本年度は、機械学習(AI)とマイクロシミュレーションを利用した農業経営体数予測モデルを開発した。モデルでは、まず、農林業センサスのデータをもとに、営農継続あるいは離農する農業経営体の特徴を学習した機械学習モデルを構築する。次に、モデルによって、個々の農業経営体の将来的な離農(営農継続)確率を予測する。最後に、マイクロシミュレーションの手法により、それら個々の農業経営体の予測結果を積み上げ、地域全体の将来的な農業経営体数や、離農に伴う供給農地面積を推計する。 本モデルを用いることで、市町村単位の予測においても精度が高い推計結果が得られることが確認できた。また、推計精度は、地域農業の条件が異なる各市町村において大きな相違がみられなかった。このことから、機械学習の手法を活用することで、データを基に各地域それぞれの離農の特徴を学習したオーダーメイドなモデルの構築が可能であることが示唆された。また、本モデルは、個々の農業経営体の離農リスクの把握や、農業経営体の任意の属性別(例えば、販売金額が1位の部門別)での地域の農業経営体数の予測にも有効であることが分かった。 この研究の成果は、市町村行政が地域の将来ビジョンを策定する場合や、担い手農業経営体が規模拡大における戦略を立案する際に活用できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、地域農業動向予測のために必要となる一つ目のモデルとして、農業経営体数予測モデルの開発を順調に進めることができた。概ね良好な予測精度が得られるモデルが開発できたため、今後進める予定である予測結果を提供するシステムの開発に向けた道筋を立てることができた。また来年度以降の農地利用状況予測モデルの開発に必要な手法に関する知見も蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、農業経営体数予測モデルの社会実装に向けてシステムを開発し、予測結果やモデルを提供していくとともに、システムの利用者の意見やニーズを把握しながら、モデルやシステムの改良を進めていきたいと考えている。 また、次の段階として、耕作放棄地の発生等を予測する農地利用状況予測モデルの開発にも着手する。モデル構築にあたり、どのようなデータを収集し活用するか、どのような手法を適用するかを慎重に検討したうえで進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度途中に、所属研究機関内での配置換があったため、当初の予算執行計画が進まなかったが、次年度において、今後の研究を進めるうえで必要となるデータならびにソフトウェアの購入費用や、調査や学会参加のための旅費として活用する予定である。
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