2019 Fiscal Year Research-status Report
地域産業クラスターとしての産地形成と農業・農村復興に向けた研究
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18K14537
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
則藤 孝志 福島大学, 食農学類, 准教授 (80739368)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域産業クラスター / 産地形成 / 地域経営 / 高齢者福祉 / 醸造用ブドウ・ワイン / 中規模流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目に当たる2019年度は、研究計画に基づき次の2本柱で研究を行った。一つは、初年度より取り組んできた理論的検討(地域産業クラスターとしての産地形成を捉えるフードシステム論的分析枠組みの検討)を進めた。そこでは対象範囲を食と農を基軸とした地域づくりや地域経営、内発的発展論に広げ、概念の整理を行った。そしてその成果を論文および書籍として発表した(北川太一編『地域産業の発展と主体形成』放送大学教育振興会、分担執筆 第3章 地域経営の展開と課題、第4章 フードシステムと地域産業)。もう一つは、調査対象地域に対して集中的にフィールドワークを実施し、関連主体に聞き取り調査を実施した。そこでは①福島県西会津町における高齢者福祉と農業との融合による野菜産地の形成(にしあいづ健康ミネラル野菜普及会の展開と主体をつなぐゲートキーパーの役割)、福島県郡山市における醸造用ブドウ・ワインの産地形成の現状と課題(ふくしま逢瀬ワイナリーの展開とクラスター形成)について論文を発表した。さらに震災・原子力災害後の福島県における農産物・食品流通の現状と課題について総説を執筆した。そこでは全国(広域流通)から県域(中規模流通)、そして身近な地域(地場流通)にかけて、さまざまなスケールで農産物の流通を複層的に展開していくことの重要性を指摘し、とくにこれまであまり注目されてこなかった県域の地産地消(中規模流通)のこれからの方向性について展望した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に、2年目の主な実施事項として計画されていた理論的検討の内容を論文および書籍として発表することができた。第2に、福島県における地域産業クラスターの形成に向けた現場の動きを4本の論文・総説として発表することができた。以上から研究は概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる2020年度は、19年度に引き続き、福島県における地域産業クラスターの形成に向けた現場の動きを調査し論文にまとめるとともに、これまで2年間の研究成果を踏まえたフードシステムの分析枠組みについて改めて検討し、次の研究課題につなげたい。
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Causes of Carryover |
次年度に、研究成果を国際学会(ヨーロッパ農業経済学会、2020年8月、プラハ)で発表する機会が得られたため、今年度助成金のうち10万円程度を学会の渡航費・参加費に充当しようと考えていた。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって8月の学会の開催も危ぶまれている。今後の動きを注視しながら、必要に応じて次年度の研究計画を変更していく予定である。
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