2018 Fiscal Year Research-status Report
「農と食の地域自給圏」に関する農村社会開発手法の研究-「最も美しい村」の日仏比較
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18K14538
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤本 穣彦 静岡大学, 農学部, 准教授 (90555575)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農村計画 / 地域資源 / 農と食の自給圏 / 農食連携 / 最も美しい村 / 農村文化 / 地域経済 / 循環システム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、NPO法人「日本で最も美しい村」連合について、設立の経緯、加盟町村の拡大プロセス、加盟村の評価・格付け方法と基準に関する質的資料(連合事務局内に保管されていた会議資料や議事録、新聞記事等)を収集し、データ化した。このデータを分析して、年表を作成し、関係者のネットワーク・相関図を作成した。その際「日本で最も美しい村」連合会長の浜田哲・北海道美瑛町長(当時)や歴代の事務局担当者へのヒアリングを通じて事実関係を確定し、さらなる情報の収集や担当者が所有していた資料の追加収集を行った。これらの質的データとあわせて、2018年度現在加盟の63町村について、農林業センサスや国勢調査等のデータを通時的に整理し、再構成することでマクロな農業・農村社会動態の分析を可能にするデータベースを構築した。以上の研究成果を中間的に取りまとめ、静岡県内2つの加盟村・川根本町、松崎町や、山形県飯豊町等の加盟村で研究会報告を行った。静岡県では現在、「美しく品格のある邑」という集落・コミュニティ単位での認定制度を有しており、集落・コミュニティ単位での「美しい村」の評価手法と「日本で最も美しい村」連合が蓄積してきた自治体レベルでの農村社会開発手法についての比較研究にも発展した。このように今年度は、「日本で最も美しい村」についての質的データ収集に基づく研究を中心にすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度中に「日本で最も美しい村」についての分析枠組みを構築することができ、「フランスで最も美しい村」の農村社会開発手法との比較研究に着手することができた。中間的な成果をとりまとめつつ、加盟村との具体的な農村計画論、地域政策論についてのディスカッションを開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は連携研究者と共に、「フランスで最も美しい村」の農村社会開発手法との比較研究をすすめていきたい。フランスのスケールは、日本の集落・コミュニティスケールと地方自治体スケールとの中間であり、評価・認証の中心は、歴史的「都市」建築物と「都市計画」のゾーニングである。しかしフランスでも、その村で提供される食やワイン、農村都市を囲む農業景観、村への交通やアプローチも同時に重要としている。「美しい村」の認定・認証の方法論を単純に比較するのではなく、その背景にある思想や考え方を抽出することで比較研究を行うベースを構築したい。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していたフランスへのフィールドワークを次年度に行うよう再計画したことが次年度繰り越しの主たる理由である。
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