2018 Fiscal Year Research-status Report
韓国における農村コミュニティビジネスの形成条件と経営戦略に関する研究
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18K14541
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
李 裕敬 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80736281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農村コミュニティビジネス / ソーシャルビジネス / 経営成長 / 農業法人 |
Outline of Annual Research Achievements |
韓国では2000年後半からソーシャルエコノミーやソーシャルビジネス,ソーシャルエンタープライズ,コミュニティビジネスなど社会的企業に対するニーズが高まり,社会的企業法(2007年),協働組合基本法(2011年)など法制度の整備と伴に,雇用創出と農家所得の向上を掲げ,マウル(集落)企業や農漁村共同体会社の育成を政策的に後押ししている。2017年現在全国に1,446カ所の事業体が運営されている。こうした経営体は政策的に設立されたケースもあるが,自然発生的なケースの多くは農業経営体によるコミュニティビジネスもある。本研究では農村におけるコミュニティビジネスを営む農業経営体の形成メカニズムについて経営成長における経営戦略の視点から分析するとともに,地域の多様な主体との関係性を分析することで農村コミュニティビジネスの成立条件について明らかにすることを目的としている。 研究初年度は,韓国の農業法人の原資料統計を分析することで全体動向を把握するとともに,農業法人(個別経営体および組織経営体)を市場指向性事業(私益性)と非市場指向性事業(公益性)で類型化し,各類型に該当する事例を取り上げ,聞き取り調査を実施した。統計分析した結果については,平成30年日本農業経営学会個別研究報告にて発表し,報告論文として投稿しており,2019年中に学会誌(農業経営研究)に掲載予定である。また,マウル企業として地域ぐるみのコミュニティビジネスに取り組む先進事例調査に関しては現地の事情(調査予定時の自然災害)により延期され,年度末に予備調査を実施した。予備調査は,韓国全羅北道完州郡に所在する完州共同体支援センターとアンドクマウルを対象に事業の立ち上げから現在までのプロセス,運営状況,利害関係者と関係,課題等についてヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
韓国における農村コミュニティビジネスに対する政策支援体制や姿勢、今後について関連文献および専門家に対するインタビューにより情報収集した。また,農業法人の原資料統計資料を用いて分析を行った。その結果の一部については日本農業経営学会の個別研究報告で発表し,報告論文として投稿済みである。一方,海外の現地調査において調査の受け入れ先の事情(調査予定時の自然災害)により調査が延期され,予備調査を2018年3月の年度末に行い,本調査は次年度に繰り越すことになった。現在,調査データのとりまとめに取り組むとともに,成果を2019年度日本農業経営学会個別研究報告にて発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の現地調査の日程が年度末となったため,調査結果のとりまとめ等が遅れているが,当初の研究計画通り,2020年8月と9月に追加調査(構成主体間の社会的・地理的距離の範囲,作業範囲・経営範囲,事業内容とコミュニティビジネスが地域に与える機能,農村コミュニティビジネスへの契機,農作業の効率化,他作物の導入,追加収入源の確保等について)を行い,年度内に調査データを取りまとめ,類型別の成長プロセスと特徴、差異などについて明らかにする。
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Causes of Carryover |
計画していた海外現地調査が調査受け入れ先の事情(調査予定時の自然災害)により延期となったため,予定通りの調査を実施できず,本調査を次年度に繰り越すことになった。次年度(2019年)には夏と冬の本調査および春の追加調査を計画し,計画通りに海外現地調査を実施することで今年度未使用額と次年度使用額を執行する予定である。
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Remarks |
平成30年度国際地域研究所ミニシンポジウム発表,「有機農産物市場の成長に求められる条件 ―韓国における有機農業の取り組み状況から―」,発表年(2018年)
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