2023 Fiscal Year Annual Research Report
Formation Conditions and Management Strategies of Rural Community Businesses in South Korea
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18K14541
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
李 裕敬 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80736281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農村コミュニティビジネス / ソーシャルビジネス / 経営戦略 / 主体間関係 / パートナーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、韓国の農村では農業経営体が地域社会の抱えている課題の解決に向け様々な事業に取り組んでおり、特に大規模経営体であるほどその傾向が強い。農業経営体にとってこうした取り組みは、地域社会の多様なステークホルダーとの関係性づくり(それにより成立したビジネス)で、農業経営体の経営成長における一種の経営戦略である。本研究では農業経営体が営む農村コミュニティビジネスを体系化するため、韓国農村における集落の範囲と経営範囲の特徴、事業類型・役割・機能等の諸要素から農村コミュニティビジネスの類型化を行うとともに、事業の経済性を分析した。事例調査を通じて、農村コミュニティビジネスを個人事業型と共同事業型に類型化することができた。個人事業型は農村の諸問題(高齢化、人手不足、雇用先の不在、所得問題など)を解決する目的で事業を立ち上げたものの、地域内の特定の生産者から原料(農産物)を調達し、卸売市場に比べて2割程度高い価格で買い付けることで生産者の所得増に貢献していることに留まり、それ以上の事業に関連した共同的な取り組みは見られない。一方、マウルの多くの住民が参加・出資する共同事業型は、農村民泊や収穫体験、伝統儀礼体験などを主要事業とする事例が多い。事業運営において参加者の役割分担、利益配分、非参加者へのボランティア活動等が重要な要素であることが確認された。また、農村コミュニティビジネスにおいて重要な要素であるリーダー(キーパーソン)と構成員間の関係に関連して、血縁関係で構成されている集姓村では事業の立ち上げ(出資、資金募集)は容易なものの、運営(業務分担、利益配分)においてコンフリクトが生じやすく、事業の拡張や担い手の確保が困難であることを把握した。特に、伝統的なマウル構造を維持している事例ではその傾向が強く表れていることが確認された。
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