2019 Fiscal Year Research-status Report
An International Comparative Analysis on Agri-food Labaling Systems: Geographical Indication, GIAHS and World Intangible Cultural Heritage
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18K14542
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
関根 佳恵 愛知学院大学, 経済学部, 准教授 (90612242)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英字書籍出版 / 調査結果の論文化 / 国際研究集会発表 / 海外調査 / 国内調査 / 世界農業遺産 / ユネスコ無形文化遺産 / 地理的表示制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には、主に以下の研究実績をあげることができた。(1)英文書籍の出版:Bonanno Alessandro, Sekine Kae, Feuer N. Hart (Eds.). 2019. Geographical Indications and Global Agri-Food: Development and Democratization. London: Routledge (Earthscan Food and Agriculture).2018年度の国際社会学の特別セッションの成果を書籍化し、各国の地理的表示制度に関する最新の研究成果を取りまとめた。 (2)前年度調査結果の公表:関根佳恵(2019)「食農ラベリング制度を活用したイタリア産トマトの新たな挑戦―SDGs時代への対応―」『野菜情報』190号、61-70頁。イタリアの地理的表示制度、スローフード協会のプレシディオ認証制度、民間の第三者認証制度等が食料システムや農村開発に及ぼす影響を実証的に明らかにした。 (3)国際研究集会報告:名古屋大学で開催された地理的表示制度に関する国際研究集会(2020年2月)において、日本の地理的表示制度発の申請取り下げとなった愛知県の「西尾の抹茶」の事例を取り上げ、取り下げの経緯や今後の課題について研究発表した。 (4)海外調査の実施:ユネスコ世界無形文化遺産、世界農業遺産(GIAHS)、および地理的表示制度の対象産品を生産する地域である、フィリピンのルソン島北部コルディレラ地方の棚田地域の現地調査、および国際稲研究所(IRRI)、国連食糧農業機関(FAO)比事務所、比農林水産省等の専門家インタビューを実施した。 (5)国内調査の実施:世界農業遺産(GIAHS)の国内認証地域であり、数多くの特産物を生産する徳島県の「にし阿波傾斜地農耕システム」において現地調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、上述(1)~(5)の研究実績をあげることができたが、2020年初頭以降の新型コロナウィルスの世界的流行により、2020年2月~3月に予定していた海外調査(フランスにおける地理的表示制度およびユネスコの食の無形文化遺産に関する調査)を、安全のため急遽中止せざるを得なかった。そのため、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、前年度の調査結果を2つの国際学会(国際農村社会学会、国際社会学会)の大会およびフォーラム(2020年7月)で報告する予定であったが、いずれも新型コロナウィルスの影響で延期が決定されている。今後の新型コロナウィルスの感染拡大状況によってはさらなる延期や中止の可能性も排除できないため、事態の推移を注視しながら、場合によっては国内学会での報告に切り替える等の判断をする必要がある。もし新型コロナウィルスの影響が早期に収束するようであれば、2020年2月に国際社会学会フォーラム(ブラジル)、6月に地理的表示制度に関する国際研究集会(フランス)、7月に国際農村社会学会(オーストラリア)の3つの国際集会において、前年度までの研究成果を発表する。また、研究成果を国際ジャーナルおよび国内の学会誌等に投稿し、掲載を目指す。さらに、海外渡航制限が緩和されれば海外調査を再開し、海外調査が困難な場合は国内の行動制限の緩和を踏まえた上で、国内調査を実施する。
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Causes of Carryover |
2018年度にイタリアで在外研究中、所属大学の経理の事情により科研費の支出が1年に渡って実行できなかったため、2019年度への繰越金が生じた。2019年度は在外研究先から帰国したため、国内外の調査や国際研究集会の開催、および物品費のために支出が可能になったが、2020年初頭から世界的に拡大した新型コロナウィルスの影響によって予定していた海外調査を急遽キャンセルせざるを得ない事態が発生した。以上の事情によって、当初予定していた予算の使用計画を大幅に変更せざるを得なかった。 2020年度以降は、新型コロナウィルスの収束時期にもよるが、複数の国際学会での研究発表や国内外の調査を予定しており、研究期間を通じて予算執行ができるように研究計画を再調整する所存である。
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