2018 Fiscal Year Research-status Report
音響インピーダンス測定を利用した土壌からのガスフラックス測定法(勾配法)の改良
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18K14545
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
深田 耕太郎 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (40633178)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 音響測定 / ガス拡散係数 / 鳥取砂丘砂 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌‐大気間のCO2フラックスを正確に測定することは、陸域環境や気候変動における土壌の役割を明確にするために重要である。土壌からのガスフラックス測定法の一つである「勾配法」には、土壌の拡散係数を土壌水分測定と拡散係数のモデルによって推定しなければならないという欠点がある。そこで本研究では、土壌の非破壊測定法である音響インピーダンス測定を利用して拡散係数を推定するという新しい勾配法を提案し,その実行可能性を示すことを目的とする。 本年度は、音響測定法を行うための円筒容器の形状に合わせてガス拡散係数測定装置を作製した。所定の含水比に調整した鳥取砂丘砂を用いて試験を行った。窒素ガスを充満した拡散室内で酸素濃度を測定した結果、時間とともに酸素濃度の増加を確認した。酸素濃度の時間変化の仕方は一次元の拡散現象から予測される変化と似ていたことから、土壌試料内を通して大気と拡散室でガス交換が起きたと考えた。以上により、音響インピーダンスとガス拡散係数の測定を同じ土壌試料に対して行えるようになった。過去に用いられてきた三相分布や通気係数の実験と併用することで、土壌空気の物理性への理解が深まると考えられる。 今後、数値計算を実験結果に当てはめ、ガス拡散係数を決定する手順を検討する。また、土壌の種類や水分量を変えて実験データを蓄積し、音響インピーダンスと拡散係数の関係を明確にする。この関係を用いた拡散係数の推定精度を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、一年間で音響インピーダンスとガス拡散係数の関係について議論できるまで実験データを蓄積する予定であった。しかし現状では、音響インピーダンスのデータは十分取れているものの、ガス拡散の実験が十分ではない。他の共同研究や業務が入ったため、本研究に取り組む時間が当初の計画よりもとれていないためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で最も重要なのは、音響測定とガス拡散係数の測定結果を比較し、音響インピーダンスを利用したガス拡散係数の推定精度を検討することである。そのために十分なデータをとる必要がある。研究時間のこれ以上の確保は難しいが、実験は問題なく行えている。よって、実験手順を検討し効率化を図るなどして、引き続きデータを蓄積していく。
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Causes of Carryover |
2018年度の研究計画の実施が遅れたため。今年度も当初の計画の遂行を目指し、研究のペースに合わせて随時使用する。
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