2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of imidazole compounds on the function of myosin
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18K14563
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 徹 北海道大学, 農学研究院, 助教 (20705173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミオシン / イミダゾール / 食肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イミダゾール化合物の骨格筋タンパク質への作用について明らかにすることを目的とし、ヒスチジンによるミオシンの水溶化現象をモデルとして、ヒスチジンとミオシンとの相互作用の確認および相互作用によるミオシンの構造変化を確認する。 ミオシンは高塩濃度溶液にのみ溶解するとされていたが、ヒスチジンを含む低塩濃度条件下において溶解することが示されていた。前年度までに、ミオシンの溶解度が金属イオンおよび塩基性アミノ酸の添加により濃度依存的に低下することがわかっていた。当該年度では、ミオシンの重合体形成に関わっているミオシン尾部領域においてヒスチジンの添加による構造変化についてTrp残基の自家蛍光および表面疎水性を指標とし検討を実施した。ミオシン尾部領域のについては、ヒスチジンの有無により顕著な変化が見られなかった。さらに、局所的な構造変化を捉えるために、尾部領域の一部のアミノ酸配列を模したタンパク質フラグメントを大腸菌を用いたタンパク質強制発現系により作製し、同様の検討を行ったが、やはり構造変化は認められなかった。そこで、尾部領域の表面電荷に変化が生じていると考え、表面電荷の指標となるゼータ電位の測定を行ったところ、ある一部の領域において、ヒスチジンの添加により表面電荷が変化していることがわかった。この結果は、ヒスチジンのミオシンにおける作用部位の特定に非常に有益な情報であり、ミオシンの水溶化現象の作用機序の解明への大きな一歩となる。 また、当該年度では、ミオシン尾部領域フラグメントを用いた分子間相互作用解析を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実験の実施がままならず、計画通りの進捗とはいかなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大腸菌を用いたタンパク質強制発現系によるミオシン尾部領域フラグメントを用いた分子間相互作用解析を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により在宅勤務期間があったことから、実験の実施が制限されたため、また、表面疎水性およびゼータ電位の測定のための適切な測定条件の設定に思いのほか時間を要したために、計画通りの進捗とはいかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究により、ヒスチジンの存在下において、ミオシン尾部領域の一部で表面電荷に変化が生じていることが分かったため、表面プラズモン共鳴法を用い、この領域とヒスチジンとの分子間相互作用解析を実施する予定である。また、この領域内の特定のアミノ酸残基を化学修飾したもの、およびアミノ酸置換をしたタンパク質フラグメントを用い、ヒスチジンとの相互作用部位を特定する。
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Causes of Carryover |
前年に購入予定であった恒温振とう機の購入を見送ったことと、当該年度に参加予定であった学会が新型コロナウイルス感染拡大防止を理由に開催が中止となり旅費の支出がなくなったことが主な理由である。そのほか、消耗品などの節約に努めた。 次年度は、進捗の遅れを取り戻すために、有償の学内共有機器を利用し、繰り越した分を有効に活用する。
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