2018 Fiscal Year Research-status Report
酸素消費量を用いた飼料効率の選抜に関する量的遺伝学的およびゲノム科学的研究
Project/Area Number |
18K14565
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 伸一郎 東北大学, 農学研究科, 助教 (50804192)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸素消費量 / 維持エネルギー要求量 / 次世代シーケンサー / 遺伝的パラメーター / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
家畜生産のコスト低減を目指した維持エネルギー量の抑制による飼料効率の向上は有望なアプローチである。酸素消費量(OC)を間接指標として用いた維持エネルギー量の遺伝的改良の可能性および酸素消費量による選抜へのミトコンドリア機能の関与が示唆されているが、その実態については未だ謎が多い。本研究では、『飼料効率の間接指標としての酸素消費量による選抜の実態解明および酸素消費量に関連する遺伝的指標の同定』を目的に、酸素消費量の高低にもとづく選抜系マウス集団を用いて、①量的遺伝学的手法による酸素消費量の高低に対する核ゲノム遺伝およびミトコンドリア遺伝の影響度の調査および②全ゲノムシークエンシング結果を用いた酸素消費量関連遺伝子の探索を行う。本年度は、17世代にわたるOCの高低2方向選抜の実施時に収集されたデータを用いて、8週齢時OCおよび3週から8週までの各週齢時体重を対象に、ミトコンドリア遺伝(細胞質遺伝)の効果を含むモデルにより遺伝的パラメーターを推定した。その結果、いずれの形質についてもミトコンドリア遺伝効果の寄与率は非常に低く推定され、OCにおけるミトコンドリアゲノム単独の影響は小さいことが示唆された。一方、OCの遺伝率として中程度の値が推定されたことから、核ゲノム上にOCの高低と関連する遺伝的多型の存在が示唆された。今後、系統間で差のある核ゲノム上の遺伝的多型の検出を試みる。検出された多型付近の遺伝子を探索し、OCとの関連性について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画通り、OCの高低2方向選抜の実施時に収集されたデータを用いて、8週齢時OCおよび3週から8週までの各週齢時体重を対象に、ミトコンドリア遺伝(細胞質遺伝)の効果を含むモデルにより遺伝的パラメーターを推定した。その結果、OCにおいてミトコンドリア遺伝効果の寄与率は非常に低く推定されたから、既に報告されているミトコンドリア呼吸活性の系統間差に対するミトコンドリアゲノム単独の影響は小さい可能性が考えられた。一方、OCの遺伝率として中程度の値が推定されたことから、核ゲノム上にOCの高低と関連する遺伝的多型の存在が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、次世代シーケンサーを用いて全ゲノム多型解析を実施する。OCの高系、低系および両系統の基礎集団それぞれについて、複数個体由来のサンプルから調整したDNAの混合サンプルを得る。3群それぞれについて、シーケンシング結果より推定された多型の頻度を比較することで、OC選抜に関連する多型を検出する。検出された多型付近の遺伝子を探索し、それらの機能について調査する。同定遺伝子は飼料利用効率とも関連することが期待される。
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Research Products
(1 results)