2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the network among the intestine, brain and reproductive organs focused on the intestinal environment in hens.
Project/Area Number |
18K14569
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新居 隆浩 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (90804873)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニワトリ / 腸内環境 / 粘膜バリア / 炎症 / 産卵機能 / ストレス / プレバイオティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は採卵鶏の腸内環境と産卵機能との関係を内分泌制御の観点から明らかにすることを目的とした。これまでにデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による産卵鶏の腸内環境悪化モデルを構築した。これにより、軽度な腸内環境の悪化は卵黄重量を減少させることを明らかにした。これには肝機能への影響だけでなく、性ホルモンによる内分泌調節機能が関与する可能性が示唆された。 そこで最終年度には、腸内環境が性ホルモン軸とストレス軸を中心とした内分泌制御機構へ与える影響の解析と、腸内環境悪化による産卵機能低下の改善策として腸内環境改善効果が知られているグァーガム加水分解物(PHGG)の給与が産卵機能に及ぼす影響を解析した。 その結果、腸内環境が悪化すると、初期には急性ストレス応答と同時に起こるLHの増加と、これによる卵胞の早期排卵が起こることで卵黄サイズが低下し、その後はAVTを介した長期的なストレス応答が継続的に卵胞発育を低下させることが示唆された。こうした卵胞の発育不全の補填として、FSH発現の増加や卵胞発育を促進させるための卵胞の遺伝子発現変化が誘導されると推察される。 また、腸内環境改善効果が報告されているPHGGを採卵鶏に予め投与し、その後DSSで刺激すると、PHGG投与区ではDSSによる卵重や卵黄重の低下が抑制された。この時回腸や盲腸だけでなく、肝臓においても炎症性サイトカイン発現が低下し、肝臓の脂質代謝レベルも正常時のレベルに戻っていた。このときAVTの受容体のレベルがPHGG区では低下しており、ストレス反応も低下していたと推察される。 以上のことより、産卵鶏の軽微な炎症を伴う腸内環境の悪化は、ストレス反応と肝機能障害を誘導し、これらの影響で卵重や卵黄重が低下することが明らかになった。また、プレバイオティクスにより腸内環境を整えてやることで、これらの卵質の低下が抑制できることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)