2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of cell type-specific in vitro gene function analysis system in mouse ovary
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18K14571
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
佐々木 恵亮 東京農業大学, 生命科学部, 研究員 (10737159)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レンチウイルスベクター / 卵巣 / 卵母細胞 / 顆粒層細胞 / 莢膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
・平成30年度はとくに卵母細胞特異的に感染するレンチウイルスベクターシステムの構築を行ってきた。細胞種特異的に感染するレンチウイルスを作製するため、ウイルスエンベロープを改変した。卵母細胞で発現する受容体であるc-Kitに結合するSCFをエンベロープに付随させたレンチウイルスベクター(SCF-LV)を作製したが、卵母細胞特異的なウイルス感染は起こらなかった。このレンチウイルスはエコトロピックな感染力を示すVSV-Gエンベロープを欠失させたものであるため、それによって感染性が低下したと思われた。同時にレンチウイルスベクターコンストラクトの改変にもとりかかり、卵母細胞で発現するc-KitやStella/PGC7/Dppa3プロモーターによってGFPを発現するベクターを構築したが、卵母細胞特異的な蛍光はみられなかった。c-KitおよびStellaプロモーターはマウスES細胞では十分な転写活性を示したため、in vitroの卵母細胞では外来遺伝子サイレンシングが起こっている可能性が考えられた。 ・顆粒層細胞および莢膜細胞特異的に感染するレンチウイルスシステムを構築するため、SRAに登録されている生後3日齢のマウス顆粒層細胞および莢膜細胞のRNA-seqデータからそれぞれに特異的な発現を示す膜貫通型レセプターの探索を行った。 ・レンチウイルスを感染させた卵巣の器官培養系の構築を行った。卵巣はウイルス感染時に一度分散させられるため、ウイルス感染後に卵巣細胞を回収して卵巣構造を再構築させる。この再構築培養法は平成30年度までに完成させることができ、再構築卵巣内の卵母細胞の成長も確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに細胞種特異的感染能をもつレンチウイルスの作製まではいたっていないが、レンチウイルスコンストラクトや膜貫通型レセプターの準備は整えることができた。また、2019年度に実施予定のレンチウイルスベクターによるノックダウンは培養細胞レベルですでに実験系は確立できている。さらに、再構築卵巣の培養にもある程度の目処が立っており、目的のレンチウイルスシステムが確立でき次第すぐにとりかかれるところまできている。
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Strategy for Future Research Activity |
・卵母細胞特異的感染能を有したレンチウイルスの産生:平成30年度に作製したSCF-LVはVSV-Gを欠失したウイルス粒子であったために感染能が低下したと考えられる。これを克服するために、VSV-Gを有したSCF-LVを作製し、高い感染能を保持したまま感染特異性を有したレンチウイルスの作出を試みる。 ・顆粒層細胞特異的感染能を有したレンチウイルスの産生:顆粒層細胞特異的なレンチウイルスベクターについては、顆粒層細胞前駆体で特異的に発現するLGR5に着目し、そのリガンドであるRSPO1をエンベロープに持つRSPO1-LVを作製する。RSPO1は細胞膜表面に留まらずに遊離する、膜貫通ドメインをもつ他タンパク質との融合タンパク質としてウイルスエンベロープに付随させる予定である。 ・ウイルス感染卵巣の器官培養:平成30年度までにウイルスを感染させた再構築卵巣の器官培養が可能となっている。しかし、その卵胞構造は貧弱であり、卵胞の単離に耐えられない。そこでウイルス感染卵巣の器官培養条件を検討することで、より強固な卵胞構を形成させる計画である。これによってその後の卵胞培養のステップに移る。
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Causes of Carryover |
論文投稿のために費用を確保していたが、2018年度内に使用できなかった。さらに、購入を予定していた消耗品の納期が遅延したため、2018年度に購入できなかったことから、その分の費用を2019年度に繰り越した。繰り越し分は予定していた消耗品の購入などに使用する。
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Research Products
(1 results)