2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of relationship between protein quality control system and pathogenesis of encephalitis by flavivirus infection
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18K14574
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 進太郎 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (00634205)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フラビウイルス / 細胞内タンパク質品質管理 / オートファジー / AMPK / 神経病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経向性フラビウイルスの細胞内増殖におけるタンパク質品質管理機構の利用と、それによる神経病態形成との関連について、関与するウイルス因子や関連宿主因子を介した増殖の分子機構および、神経細胞および生体レベルでの神経機能への影響、を明らかにし、神経向性フラビウイルス感染による神経病態形成機構におけるタンパク質品質管理機構の重要性を明らかにすることを目的とした。 神経向性フラビウイルス感染神経細胞において、ユビキチン化されたタンパク質の凝集体が形成されており、ウイルスのカプシドタンパク質が凝集を誘導することが明らかになった。この凝集体は細胞にとって有毒であり、通常はタンパク質品質管理機構によって除去されていることから、ウイルス感染との関連を解析した結果、カプシドタンパク質が細胞内タンパク質分解機構であるオートファジーを抑制することが明らかになった。続いて、カプシドタンパク質のオートファジー抑制メカニズムを解析し、ウイルス感染細胞ではオートファジー誘導シグナルの最上流に位置するAMPKのプロテアソームによる分解が亢進していること、カプシドタンパク質は51番目と52番目のアミノ酸の作用によりAMPKと結合していることが明らかになった。また、カプシドタンパク質の51番目と52番目のアミノ酸に変異を導入したウイルスは、感染マウスモデルの脳炎病態形成および、神経細胞の細胞死の誘導が低下した。 以上の結果から、神経向性フラビウイルスはカプシドタンパク質とAMPKの結合を介したAMPKの分解を誘導することでオートファジーを抑制し、細胞内に有毒なタンパク質の凝集体の形成を誘導し、神経細胞死ならびに脳炎病態の形成を誘導することが明らかになった。
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