2020 Fiscal Year Research-status Report
脂質輸送機構を介したアルボウイルスの節足動物内輸送と垂直感染機構の解明
Project/Area Number |
18K14576
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
西山 祥子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (90817058)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蚊 / ウイルス感染 / 垂直感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質は節足動物の主要栄養素であると同時に節足動物媒介性ウイルス(アルボウイルス)を構成する成分でもある。このため、蚊の脂質を輸送する蛋白質がアルボウイルスの感染に関わっていると仮定した。蚊に2本鎖RNA(dsRNA)を導入することにより、標的となる遺伝子をノックダウンする事が可能である。上記の仮説を検証するため脂質輸送蛋白質をノックダウンした蚊にウイルスを感染させ、アルボウイルスの感染率や垂直感染率に与える影響を解析する。このシステムを利用し、蚊の脂質輸送蛋白質がアルボウイルスの感染に果たす役割を解明し、垂直感染メカニズムを明らかにする事を目的とする。 今年度は蚊の幼虫からの遺伝子検出をする方法を解析した。蚊の幼虫から総RNAを抽出したところ、RNA量にかかわらず、RT-PCRでの遺伝子検出率が低かった。このことから、幼虫に含まれているPCR阻害物質がPCR反応を阻害している可能性が示唆された。このような背景から、遺伝子増幅反応が強く、増幅阻害物質に耐性をもち、簡便なウイルス感染の判定方法の必要と考えられた。そのため、LAMP法を用いて幼虫の垂直感染率を解析することとした。 LAMP法は幼虫に感染しているウイルスの検出に有用かの検証した。結果、LAMP法を用いた幼虫に感染しているラクロスウイルスの検出の限界は40PFUとなった。これはリアルタイムPCRの結果と同等であった。次いで、脂質輸送蛋白質がノックダウンしている感染蚊の垂直感染率を幼虫を用いて解析した。結果、ヒトスジシマカでは陰性コントロール群の垂直感染率が20%であったのに対し、ヴィテロジェニンAノックダウン群では12.5%であった。このことから、ヒトスジシマカで、わずかではあるが、ヴィテロジェニンAノックダウン群で垂直感染率の減少が認められ、ヴィテロジェニンAが垂直感染に関わっている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
蚊の幼虫からウイルス遺伝子を検出する方法を確立するのに時間がかかった。 今年度、この問題を解決できたため、実験がスムーズに進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果から、dsRNAを導入した蚊において、ラクロスウイルスの垂直感染率はネッタイシマカよりヒトスジシマカの方が高いことが明らかとなった。また、成虫に感染したウイルス量は同等であることが示されている。このことから蚊の種類の違いにより、垂直感染率が異なることが明らかとなった。また、ヒトスジシマカで、わずかではあるが、ヴィテロジェニンAノックダウン群で垂直感染率の減少が見られた。ヴィテロジェニンAが垂直感染に関わっている可能性が示された。今後、さらに検体数を増やして解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
出産と育児の為、研究の進行に遅れが出た。 一部、結果がで始めたので、このまま研究を継続したい。
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