2018 Fiscal Year Research-status Report
イヌSurvivin抗原を利用したペプチドワクチン療法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18K14584
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山下 真路 鳥取大学, 農学部, 特命助教 (60813409)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 犬 / 癌 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
DLAには複数の種類があり、またそれぞれに多くのハプロタイプが存在する。最も多いハプロタイプを持ち、分子としての発現が多いのがDLA-88である。Survivinの犬のDLA-88に提示されることができる配列はDLA-88のハプロタイプによって異なっているため、どのハプロタイプについての探索を行うかを決定しなければならない。実験の初期情報として必要な犬のハプロタイプを確認するために、過去の文献を参考に解析法を確立させた。具体的には、犬の血液から白血球などの有核細胞を、リンフォプレップキットを用いて分離し、トライゾールを用いてRNAを抽出する。RNAを逆転写してcDNAを作成する。哺乳類のゲノムDNAは2nであり、各個体は2種類のDLA-88のハプロタイプを持っていることから、それぞれの配列を解析するためにサブクローニングを行う。TOPOクローニングキットを用いてcDNAからDLA-88遺伝子をサブクローニングし、DNAシークエンスにて塩基配列を解析した。解析した配列をNCBIのBLASTを用いて既存のDLA-88のハプロタイプと照合し、各実験犬の型を確認した。その結果、実験に供するビーグル犬9頭のうち、5頭がDLA-88 novel41のホモであることを確認し、その他の3頭はnovel41とその他のハプロタイプのヘテロであり、novel41を有していない犬は1頭のみであった。実験の再現性やCD8陽性T細胞を用いたSurvivinを高発現している腫瘍細胞への攻撃性を確認する際にも利用することができるため、Survivinのペプチド配列はDLA-88 novel41のものを探索することを決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DLA-88のハプロタイプの同定を行うためのテンプレートを当初はゲノムDNAを抽出してサブクローニングを行い、シークエンスを行っていたが、予想以上に解析可能な配列の長さが足りなかったためにcDNAを使用することに変更したため、腫瘍細胞でのSurvivinタンパク発現を確認する事ができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
犬の癌細胞株と正常組織及び自然発症癌組織におけるSurvivin分子の発現状況を、ウエスタンブロットを用いて確認を行う。新規の抗Survivin抗原を使用するため、ウエスタンブロットのプロトコルを調整する必要があることが過大である。 SurvivinのDLA-88に提示されるペプチド配列を特定するためにはELISpot assayを行う必要がある。犬のELISpot assayの実施方法は明確に確立されていないため、手技の獲得が課題となる。また、ポジティブコントロールを設定する必要があり、その抗原の選別作業も必要なためある程度の難航が予想される。手技については人のペプチドワクチンを開発している外部の研究施設での研修が可能であるため、必要な場合は問題点の指摘を受ける。
|