2018 Fiscal Year Research-status Report
放射線感受性増強を目的としたイヌ悪性黒色腫の新規分子標的薬療法の確立
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18K14588
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
根本 有希 山口大学, 共同獣医学部, 助教 (50790705)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 腫瘍 / イヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌの悪性黒色腫に対する放射線治療は、その効果を増加させようと化学療法の併用が検討されてきたが、腫瘍再発までの期間や生存期間の延長は認められていない。そこで本研究では、治療成績向上のため、放射線感受性を増強させるような新規化合物を探索し、その効果を検証することを目的とした。 阻害剤ライブラリーから、阻害剤単独で処置した場合には殺細胞効果がないが、放射線と併用することで殺細胞効果を、放射線照射単独より有する阻害剤を選択した。平成30年度の計画として、上記の効果を有すると明らかにした2種類の薬剤についてそれらの細胞死に対する影響や作用機序の解明をすることとした。2種類の阻害剤の選択には、まず1種の悪性黒色腫細胞株を使用した。さらに今回、検討する悪性黒色腫細胞株数を増やし同様に検討を行ったところ、同様な効果が得られず放射線照射の効果を増強するとは言い難い結果であった。そこで、その他に悪性黒色腫と同様、転移が多く発生する骨肉腫細胞株を使用し検討を行った。しかし放射線照射の効果を増強する効果は得られなかった。腫瘍細胞の種類また細胞株間において効果には差が認められ、全ての腫瘍細胞株において放射線増感効果は得られなかった。 本研究の最終目的は阻害剤を臨床応用することであるため、細胞株における効果の差についての詳細な検討は中止とし、阻害剤検討に立ち返ることとした。現在は、研究機関を変更したため、放射線照射の条件を統一するためイヌ腫瘍細胞株について放射線感受性を再び検討している。またそれにより今後の検討においては、様々な放射線感受性を持つ腫瘍細胞株を使用する予定である。イヌ腫瘍細胞株において放射線感受性に関する報告が少ないため、この検討は今後の研究材料の情報として有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者が所属機関を変更したことで、研究環境の立ち上げや放射線照射の条件変更が生じたため。 効果を有すると判断した薬剤について、その効果が腫瘍株において大きな差が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究機関が変更したことから放射線発生装置を統一し、腫瘍細胞株の放射線感受性をスクリーニングし、その上で感受性に幅のある数種の細胞株を用いて、同様に実験を再び行う予定である。選択した阻害剤に対して効果が得られない場合には、すでに放射線増感効果が報告されている抗がん剤を用いて、申請者が診察より感じた低容量抗がん剤との併用効果について研究を切り替え検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
計画が予定通りに進行しなかったこと、新しい研究環境で多くの備品が必要になると考えられらため。次年度はインキュベーターもしくはディープフリーザーを購入予定である。
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Research Products
(4 results)